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第56回ロンドン映画祭で映画『ルーム 237(原題) / Room 237』が上映され、ロドニー・アシャー監督、プロデューサーのティム・カーク、声の出演のビル・ブレイクモアがティーチインに登場した。本作は、スタンリー・キューブリック監督作品『シャイニング』をコマ送りや逆回しにして、そこに隠されたメッセージを読み解くというファン垂ぜんもののドキュメンタリーだ。
タイトルとなったルーム237は、クローズ中のホテルを舞台にした『シャイニング』で、ヌードの美女、実は……が現れる謎の部屋。「最初は217という部屋番号だったのが、実際に舞台となったホテルに217の部屋があり、恐がられるとクレームがきて237にした」と生前キューブリック監督は説明したが、舞台になったホテルに217という部屋などない。
では237という数字は……? と解き明かされていく過程は、キューブリック監督のファンでなくともワクワクさせられること請け合いだ。「われわれが対しているのはIQ200の人物だ」というナレーションもあるように、ここまで仕掛けたキューブリック監督の頭脳に驚くとともに、それらを見つけ出した人々にも脱帽してしまう。
そのうちの1人が紛争地区を担当してきたABCニュースの特派員で、キューブリック研究家としても知られるブレイクモア。ブレイクモアは作中でインディアン殺りくやナチスによるユダヤ人大虐殺を示唆する部分を解説。「キューブリック監督はそれまで培ってきたテクニックを総動員して、最も恐い映画を作った。『シャイニング』には人類の歴史からの恐怖が盛り込まれている。人間は同じ過ちを繰り返してきた」と血塗られた歴史を暗示しつつ、そこから抜け出す道も示した同作の奥深さを語っている。
主演ジャック・ニコルソンのアルコール中毒がキャラクターに影響しているかという質問には、カークが「ジャックは(原作者の)スティーヴン・キングほどにはアル中ではなかったよ」と返答。ブレイクモアは『シャイニング』には、主人公のアルコール中毒に関する話題が出てくる、女医が登場するシーンを含むアメリカバージョンと、そのシーンがないイギリスバージョンが存在することを説明する。
「キューブリック監督になぜかと聞いたら『それが好きだから』という答えだった(笑)。彼のような偉大なアーティストは常にどんどん掘り下げていく。僕が考えるに、最初、主人公のアルコール中毒で説明されていたものを、もっとユニバーサルなものにしたかったのだと思う」と解説し、「これはキューブリック監督がどう映画を作るかという見本でもある」との見解を示した。本作を食い入るように観ていた観客が、さらに集中して拝聴するような質疑応答となった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
(引用:シネマトゥデイ映画ニュース/2012年10月16日)
以前から海外のネット上で「『シャイニング』の隠されたメッセージを解く」といったサイトが活発に活動していたのは知っていましたが、単なるマニアのお遊びだと思ってたのに映画にしたんですか・・・。日本での公開はあるのかどうか分かりませんが、正直言ってこういう「陰謀・謎解き」系にお金を払うのは好きじゃありません。「『シャイニング』人気に便乗してここらでちょっと金儲け」臭がぷんぷんしてます。記事には「舞台になったホテル(ティンバーライン・ロッジ)に217号室という部屋などない」とありますが、当時はあったがマニアが217号室に泊まりたがって迷惑だから部屋番号を変えた可能性だって考えられます。こういう人たちって自分たちに都合のいい事実は喧伝するのに、都合の悪い事実は話さない傾向がありますからね。まあ、ネタ・お遊びとしては面白いでしょうから、何かの機会に無料で見る機会があればここで論評したいと思います。