【ブログ記事】スタンリー・キューブリックとアカデミー賞

 さて、キューブリックとアカデミー賞ですが、自身の名義で獲得できたのは『2001年宇宙の旅』の「特殊視覚効果賞」のみ。それも、本来の該当者は4人だったのに、アカデミーから「一つの賞に該当者は3人まで」と言われて代表でキューブリックが受け取ったというもの。さらに悪かったのは名誉賞(当時メイクアップ賞はなかった)が『猿の惑星』に奪われた事。これにはクラークも怒り心頭で「アカデミーの審査員は、猿人を本物と思い込んだんだ!」と吐き捨てたそうです。

 キューブリックはもちろん、アカデミー賞受賞における興行的価値は理解していたので(資金集めに苦労しっぱなしのキューブリックは、興行成績が次作の資金集めに影響するのを恐れていた)受賞資格を得る為にわざわざ上映時期をずらしたり期間中に再上映したりしていたのに、アカデミー賞にはノミネートがせいぜい。まあ「ハリウッドの異端」「イギリスへの亡命者」とされていたキューブリックに、身内が身内を誉め讃えておめでたがる閉鎖的なハリウッドが賞なんか贈るはずがないわけで、かえってこのぐらい無視されている方がスッキリしていて気持ちいいくらい。お願いだから「アカデミー特別賞」なんて中途半端な代物を贈る事なく、死して後も尚「ハリウッドに背を向け続けた映画界最大の巨匠」であり続けて欲しいものです。

【キューブリック作品で獲得したアカデミー賞】

●『スパルタカス』
最優秀助演男優賞/ピーター・ユスティノフ
最優秀撮影賞/ラッセル・メティ
最優秀美術監督賞/アレクサンダー・ゴリツェン、エリック・オーボム、ラッセル・A・ゴスマン、ジュリア・ヘロン
最優秀衣裳デザイン賞/J・アーリントン・ヴァレーズ、ビル・トマス

●『2001年宇宙の旅』
特殊視覚効果賞/スタンリー・キューブリック

●『バリー・リンドン』
最優秀撮影賞/ジョン・オルコット
最優秀衣裳デザイン賞/ウルラ=ブリット・ショダールンド、ミレナ・カノネーロ
最優秀美術監督賞/ケン・アダム、ロイ・ウォーカー、ヴェロン・ディクソン
最優秀編曲賞/レナード・ローゼンマン

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