【家族たち】キューブリックの娘たち(エキストラ出演編)

 キューブリックには三人の娘がいます。上からカタリーナ、アンヤ、ヴィヴィアンの三姉妹です。(長女カタリーナはクリスティアーヌの連れ子なのでキューブリックの義理の娘になる)キューブリックは事あるごとにこの娘達を自作品に登用してますが、一番わかりやすいエキストラ出演のシーンをここでまとめておきたいと思います。

 まず、長女のカタリーナ。『時計じかけのオレンジ』でレコード店のシーンでアレックスとすれ違う客(アレックスが店内を歩いている時に右奥から出てくるカップルのちょっと小太りなベージュの服の女性。アレックスが女の子をナンパしている時に後ろをうつむき加減にレコードを持って歩き、再度登場している)。『バリー・リンドン』でクイン大尉とノーラを囲んでの食事シーン(ノーラの左側3人目の胸の大きく開いたドレスの女性)。そして『アイズ ワイド シャット』でビルの診察を受ける少年(カタリーナの実の息子のアレックス)の母親役で出演しています。

 次女アンヤについては、カタリーナによると「彼女は出演を望まなかった」そうなので、ありません。

 三女ヴィヴィアンは有名で、『2001年宇宙の旅』のフロイド博士の娘「スクィート」を、『バリー・リンドン』ではクイン大尉とノーラを囲んでの食事シーン(ノーラの左側2人目の藤色のドレスの女性)とマジック・ショーの見物人(レディ・リンドンの右奥の若い女性)、そして羊の馬車で遊ぶシーンに。『シャイニング』ではゴールドルームの幽霊(ソファーで長いキセルをくゆらす黒いドレスの女性)を、『フルメタル・ジャケット』では虐殺現場を取材している女性カメラマン役で出演しています。

 どのシーンも主役に近く、かなり目立つ位置に配していますね。他人にも自分にも厳しかったキューブリックですが、これを見る限り娘たちには大分甘かったのではないかと思うのですが。まあ5人家族で男は自分一人、そんなパパが家庭内でどんな位置を占めるのか・・・同じ境遇の方ならだいたい想像ができるかと思います。『バリー…』でのライアン・オニール起用は娘たちの強力なプッシュがあったという話ですし。なんだか微笑ましいですね。

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