【台詞・言葉】私がスパルタカスだ!(I'm Spartacus!)
この一連のシークエンス、とても偽善的で嘘くさく、安っぽいヒロイズムが横溢しているので絶対キューブリックが撮りたくなかったんじゃないかと想像していたのですが、やっぱり脚本のダルトン・トランボが当時の赤狩りに対し、共産主義者は他人を巻き込まず、連帯が強い姿を示すために採用したようです。
その後、共産主義の理想は崩壊し今ではすっかりギャグの域に到達。ナチズムもそうですが、一元的な理想主義は今から見ればタチの悪い冗談としか思えません。その理想主義の成れの果てが弾圧と粛正と殺戮ですからね。君たちは奴隷側ではなくホントはローマ側でしょ?とツッコミたくなります。
ジョン・マルコヴィッチの『Color Me Kubrick』の邦題『アイ・アム・キューブリック!』はここからの引用だと思いますが、このシークエンスを主導したのがキューブリックでないのなら、この皮肉なタイトルも的外れ、という事になります。配給会社はもっと調べてからにすればよかったですね。