【撮影・技術】ボイスオーバー(Voice Over)
テレビや映画で、画面に現れないで説明や語りを行う人の声。 キューブリックは本人が画面に登場しているシーンにも、その当人の語りをかぶせることもあって『時計…』でのアレックスは全編これになります。ナレーションと混同しがちですが、ナレーションは語る内容が「客観的な解説」であり、演技の範疇ではないので明確に区別すべきでしょう。キューブリックは割と好んでこの手法を使っていて、
「ボイスオーバーは、非情に退屈でしばしば舌足らずになりがちな説明的な会話シーンによってストーリー上必要な事を伝える、という厄介な仕事から我々を解放してくれる」
「また一方でボイスオーバーは、劇的な重みを必要としない、さもなくば劇化するにはあまりにも量の多い、ストーリー上の情報を伝える完全に正当で経済的な方法だ」
(引用:『イメージフォーラム増刊 キューブリック』)
と語っています。これを知って作品を観れば、キューブリックが画にしたいシークエンスとそうでないシークエンスが読み取れると思うので、作品理解にはとても有益かもしれないですね。