【ロケーション】ベクトン・ガス工場(Beckton Gas Works)

 『フルメタル・ジャケット』でフエの市街戦が撮影されたロンドンのイースト・エンドにあったベクトン・ガス工場の跡地。現在では再開発が進み、北半分はテスコの広大なショッピングモールと物流倉庫になっているようです。すぐそばには滑走路の短さとアプローチの急角度で有名なロンドン・シティ空港があります。東側からのアプローチだったら着陸寸前の右側に広大な跡地が見えるはず。そこがベクトン・ガス工場跡地です。

 この工場跡地で大規模ロケを敢行したのはキューブリックが最後だったうようで、それまでに破壊されていた建物を更に壊したり、燃やしたり、爆破したりと割と自由にできたようです。ここで撮影された映画は他に『007 ユア・アイズ・オンリー』(1981)のヘリコプターシーンや『1984』(1984)などが有名ですが、『ユア・アイズ…』の頃はまだ建物が残ってますね。『1984』でかなり破壊されたみたいです。「モノリスのようだ」と言われたコンクリートの板(キューブリックは「ただそこにあっただけ」とコメント)も『1984』の予告編にチラっと映っています。

 現在では戦車が砲弾をぶっ放していた3つのタワーが印象的な建物を始め、そのほとんどが解体・撤去され、その面影はほとんどありません。この建物の向こう側はすぐテムズ川になっていますが、劇中では香川(パフューム・リバー)という事になっていました。実際の川の映像では出てきませんが、こういう見えない事にさえこだわるのはキューブリックらしいですね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】キューブリック版『シャイニング』でオーバールック・ホテルに巣食う悪霊の正体とは

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【関連記事】1972年1月30日、ザ・ニューヨーク・タイムス紙に掲載されたキューブリックのインタビュー

【関連記事】音楽を怖がってください。『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『アイズ・ワイド・シャット』・・・巨匠キューブリックが愛した恐怖クラシック

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』に登場する予定だった宇宙人のデザイン案を検証する

【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』と「アイドル」に親和性?『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされた女性アイドルのPVやMVのまとめ

【関連動画・関連記事】1980年10月24日、矢追純一氏によるキューブリックへのインタビューとその裏話

【関連記事】早川書房社長の早川浩氏、アーサー・C・クラークと一緒に『2001年宇宙の旅』を鑑賞した思い出を語る

【パロディ】『時計じかけのオレンジ』のルドヴィコ療法の被験者にさせられたアニメキャラのみなさまのまとめ