【台詞・言葉】ローレンス(Lawrence)
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「アラビアのロレンス」と「駆逐艦チャールズローレンス」 |
『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹がレナード・ローレンスに向かって、「名前が気に喰わん、ローレンスはオカマ野郎か水兵の名前に決まってる!」と決めつけてますが、この意味を調べてみました。
まず「オカマ野郎」ですが、これは「アラビアのロレンス」ことトーマス・エドワード・ロレンスを指しているものと思われます。当時ロレンスが同性愛者だったという噂があり、映画『アラビアのロレンス』でもそれを示唆するシーンがあります。また軍曹がローレンスという名前について「気品ある名前、王族か?」と言っていますが、それはこのトーマス・エドワード・ロレンスが実際に貴族の家柄の出身であったため、こう質問しているのでしょう。
次に「水兵の名前」ですが、これはチャールズ・ローレンスを指しているのだと思います。チャールズ・ローレンスは旧日本軍の真珠湾攻撃で戦死した水兵の名前で、それに因み、1943年2月16日に護衛駆逐艦のネーム・シップとして命名されました。
つまり海兵隊にとって「ローレンス」とはイギリス陸軍の英雄や、アメリカ海軍の有名な戦死者とその艦名を連想させる「嫌な名前」なんですね。だからハートマン軍曹は「名前が気に喰わん!」と噛み付いているのでしょう。
因に原作では「レナード・プラット」といういかにもどん百姓でマヌケな名前になってます。それを「レナード・ローレンス」に変えたのはこの罵詈雑言を使いたかったリー・アーメイが、キューブリックに進言したのかも知れません。海兵隊の訓練教官だったアーメイは実際にこの罵倒ネタを使ったことがあった可能性もあります。どちらにしても、いかにもハートマンらしい皮肉に満ちた罵詈雑言ですね。