【場所・地名】ヴェルダンの戦い(Battle of Verdun)
『突撃』のモデルになった、フランス東部ヴェルダンで行われた第一次世界大戦での主要な戦いのひとつ。1916年2月21日に始まり同年12月16日まで続き、両軍合わせて70万人以上の死傷者を出した。
劇中の「蟻塚」のモデルは「ドォーモン砦」といい、現在でもその遺構が残されている。「Fort Douaumont」</a>で画像検索すれば当時の凄惨な戦場の様子や、兵士たち、死体、塹壕、トーチカ、砲撃の跡の穴ぼこだらけの大地、また現在の様子など様々な写真を見る事ができる(閲覧注意)。キューブリックもこれらの資料に基づいて映像化したのだろう、映画は割と忠実に再現しているのが見て取れる。
戦いの前半はドイツ軍がドォーモン砦を始め数々の砦を奪取するなど優勢に立っていた。フランス軍の間では士気は著しく低下し、厭戦気分が漂っていたという。それを知ったペタン将軍は兵士の待遇を改善し補給路を確保、士気も上がり物資も潤沢になったフランス軍はやがてドイツ軍の撃退に成功、同年の年末にはフランス軍は全ての失地を回復した。この功績によりペタンは一躍第一次世界大戦の英雄に祭り上げられるが、その後の第二次世界大戦ではナチスドイツの傀儡、ヴィシー政権の首相になり、戦後は国賊として糾弾されるのだから運命とは皮肉なものである。
尚、『突撃』で描かれた反乱罪による死刑は前年の1915年に起こっている。5人の兵士の未亡人がフランス陸軍を相手に訴訟を起こし、敗訴したという事実に基づいており、この戦いで起こった出来事ではない。