【考察・検証】真性ロリコン監督とロリコンを演じた俳優との知られざる交流
もちろん「ロリコン監督」といってもキューブリックの事ではない。キューブリックが尊敬し、影響を受けた世界的に著名で偉大な監督、チャールズ・スペンサー・チャップリンの事だ。キューブリックはそのチャップリンの最高傑作の一つ『街の灯』をベスト10ムービーの第5位に挙げている。
その偉大さや作品の清廉さから、実直で品行方正なイメージのあるチャップリンだが、実は真性のロリコン(つまり厳密な意味での少女偏愛者)であった事は有名な話。当時15歳だった『黄金狂時代』のヒロイン、リタ・グレイの処女を奪って妊娠させてしまったために結婚した(させられた)のを始め、合計4人の妻をめとっている。なんとその内十代は三人で、最後の妻のウーナ・オニールに至っては当時17歳、この時チャップリンは既に54歳だったのだ。そんなチャップリンも晩年は穏やかにスイスで隠居生活をして過ごしていたのだが、その頃交流があったのが隣村で同じく隠居生活を送っていたジェームズ・メイソン。そう、『ロリータ』でハンバート役を演じたあの俳優だ。
そのメイソン、1983年にイギリスのテレビ局が製作したチャップリン映画のアウトテイク集のドキュメンタリー『チャップリン・その素顔と未公開映像』でナレーションを担当している。これだけみてもその友好関係がいかに良好だったかを伺わせるエピソードだが、このDVDにはあのリタ・グレイも登場している。もちろんかの事件には一言も触れられていないが。
リタ・グレイは好んで自身を「リリータ」と自称していたという。これをヒントにウラジミール・ナボコフは『ロリータ』を執筆した、という話もある。もしこれが事実だとすれば、チャップリンの少女偏愛癖にインスピレーションを得た小説家が『ロリータ』という小説を書き、チャップリンに憧れた監督がそれを映画化し、その主人公を演じた俳優が晩年にその元凶たる監督と親交を温める・・・という奇妙な四角関係が成立してしまうのだ。
その内の二人、チャップリンとメイソンが現在3mの距離で同じ墓地に埋葬されているのは何か皮肉な巡り合わせを感じなくもない。当時、隠居中二人の間で一体どんな会話が交わされたのであろうか、そして死後、僅かな距離の墓の中に居るものどうしで何を語り合っているのか・・・。今となっては誰も知る由もない。