【ブログ記事】『恐怖と欲望』公開時のオリジナルポスター

 本日2013年5月3日からキューブリック幻のデビュー作『恐怖と欲望』が日本で初公開になります。それを記念して当時のオリジナルポスターを転載いたします!!・・・・・えーと、これのどこが戦争映画なんでしょうか?(汗。これではまぎれもなく「ポルノ映画」ですね。キューブリックが封印したがったのも分かるような気がします。キャッチコピーが「閉じ込められた・・・絶望的な男と奇妙な半獣の女!」ですからね。写真も絶妙なトリミングをして軍服だとは分からないようにしてあるし。

 しかも、大きく扱われている女性写真は本編のものではないですよね。それにライフ誌からは「でかいの、見つけた!」と煽りコピーまで用意してもらってます。あと下1/3は同時上映の正真正銘のポルノ映画じゃないですか。

 当時キューブリックは何を思ってこのポスターを見たんでしょうね。個人的には自分の劇映画が初めて一般公開された喜びよりも、屈辱感や無力感など大いなる挫折を味わったんじゃないかと。その反動がフィルム買い占めによる封印や、次作『非情…』における商業映画指向への方向転換に表れているんじゃないかと想像するのですが。

 結局大手の配給会社に軒並み断られたのが全てだったのでしょう。ギルド劇場という独立系で細々と公開されるしかなかった無名の新人の「芸術映画」に人が集まる筈はなく、二束三文で場末のポルノ映画館に転売される・・・キューブリックの大いなる野心とは裏腹な、そんな現実の非情さをこのポスターが如実に示しているのではないでしょうか。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』は、なぜクリスマスシーズンの物語なのか?を検証する

【関連動画】『2001年宇宙の旅』の未公開シーンとセット画像を集めた動画と、クラビウス基地で登場したハンディカメラをニコンがデザインしたという説明の信憑性について

【オマージュ】King Gnu(キング・ヌー)の新曲『一途』のMVがとっても『2001年宇宙の旅』だった件

【ブログ記事】NHK『映像の世紀~バタフライエフェクト~映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突』で紹介されたプロパガンダ映画『ユダヤ人ジュース』とキューブリックとの「接点」

【インスパイア】とっても『2001年宇宙の旅』な、旧ソ連謹製SF映画『モスクワ-カシオペア(Москва – Кассиопея)』

【パロディ】映画版『バービー』の予告編がまるっきり『2001年宇宙の旅』でどう反応して良いのやら(汗

【関連記事】映画ファンが「こんな世界絶対嫌だ…」と絶望する!オススメの「ディストピア映画」10選

【関連書籍】忘れ去られた『2001年宇宙の旅』のもうひとつの原典、アーサー・C・クラーク『地球への遠征』

【オマージュ】MV全編がまるっきり『時計じかけのオレンジ』な、コットンマウス・キングス『Stomp』のMV

【パロディ】まるっきり『時計じかけのオレンジ』のアレックスのファッションをしたマーク・パンサーが登場するglobeの『genesis of next』