【撮影・技術】スニーク・プレビュー(Sneak Preview)

 一般的には「ごく限られた人たちだけに向けた試写会」の意味で使われていますが、厳密には「極秘試写会」という意味だそうで、「映画の題名、内容、監督、出演者などを一切知らせず行う試写会のこと」だそうです。

 ここでは前者の意味として使用します。キューブリックはこのスニーク・プレビューを行った後、更に編集を行うことがよくありました。『博士の異常な愛情』ではパイ投げシークエンス</a>をまるまるカットしましたが、有名なのは『2001年宇宙の旅』の件です。ニューヨークでの試写に向かう客船内でも編集作業をし、試写後さらに編集をして月面シーンや船内活動シーンなど、約20分ほどカットしています。また『シャイニング』では全米公開後5日ほどして病院のシークエンスなどをカットしています。

 『アイズ ワイド シャット』では1999年3月2日、ワーナーのテリー・セメル、ロバート・ディリー、トムとニコールに向けてスニーク・プレビューされましたが、その5日後に亡くなってしまいました。つまり恒例の試写後の更なる編集はしていないと思いますので厳密には『アイズ…』は未完成のまま公開、という事になります。

 キューブリックはこのスニーク・プレビュー後の編集について

「私はいつもできあがった映画を、初めて見るかのように見ようとしている。映画を一人で、または観客と共に、数週間試写をする。この方法でなければ、正しい長さを決める事ができない」(引用:『イメージフォーラム・キューブリック』)

と語っています。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

【関連記事】撮影監督ギルバート・テイラーが『博士の異常な愛情』の撮影秘話を語る

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【オマージュ】キューブリックの孫、KUBRICKの『MANNEQUIN』のMVがとっても『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

【インスパイア?】「白いモノリス」らしき物体が登場するピンク・フロイド『ようこそマシーンへ(Welcome to the Machine)』の公式MV