【関連動画】「スタンリー・キューブリック・アーカイブ」とドキュメンタリー『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』

 スタンリー・キューブリック・アーカイブ」は2007年3月、キューブリックの未亡人クリスティアーヌによってキューブリック邸にあった1000以上もの箱の中にあった脚本、プロダクションノート、調査、対応、絵コンテ、注釈付きの書籍、スケッチ、写真、35mmフィルム、ビデオテープ、楽譜、レコード、モデル、セットデザイン、小道具、衣装、照明計画、機材や記念品がロンドン芸術大学に寄贈され、それを機に2007年10月、同大学内に設置されたキューブリックの資料室。

 資料のほんの一例はイメージギャラリーで見る事ができるが、これだけ見てもかなり貴重な未公開映像や写真・資料がこのスタンリー・キューブリック・アーカイブに存在している事が分かる。今後キューブリックに関する様々な決定事項(アスペクト比などはその一例)はここの資料を根拠に決定されるものと思われる。火~金曜日の13時~17時までなら一部閲覧可能(ただし非商用の研究のみ、予約推奨)で、コレクションの一部はキューブリック展などに貸し出されている。また、その膨大な資料の一部は書籍『The Stanley Kubrick Archives』『Unboxing Stanley Kubrick's Napoleon』として出版されている。

 これら資料がキューブリック邸からロンドン芸術大学に寄贈された顛末は『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』としてドキュメンタリーにまとめられ、2008年7月にチャンネル4でオンエアされた。かろうじてそのトレイラー(上記)だけYouTubeで見る事ができる。またオーストラリアのTV局フォックステルの伝記専門チャンネル、バイオ・クリエイティブのトレイラーには『ロリータ』でのスー・リオンのカメラテストの様子や『アイズ…』の没テイク、『フルメタル…』での虐殺現場のシーンの撮影風景(ヴィヴィアンが撮影したものだろう)が見られる。

 日本ではこれらの情報は皆無で、めぼしい紹介記事も見当たらなかった。せめて前述の書籍2冊(『ナポレオン』は廉価版でも)くらいは邦訳を望みたい。

追記:『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』はBD『フルメタル・ジャケット 製作25周年記念エディション 』に収録されているそうです。「新しいドキュメンタリー映像」が『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』との事です。(情報提供:moonさん、ありがとうございました)

TOP 10 POSTS(WEEK)

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

【関連記事】撮影監督ギルバート・テイラーが『博士の異常な愛情』の撮影秘話を語る

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【オマージュ】キューブリックの孫、KUBRICKの『MANNEQUIN』のMVがとっても『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

【インスパイア?】「白いモノリス」らしき物体が登場するピンク・フロイド『ようこそマシーンへ(Welcome to the Machine)』の公式MV