【DVD/BD】『バリー・リンドン』BDのアスペクト比問題を検証する(追加情報)

 『バリー・リンドン』BDのアマゾンのレビューを見ていたら、BDのアスペクト比問題でワーナーに問い合わせた方がいらっしゃいましたのでご紹介いたします。2013年8月8日付けのUrotaさんのレビューです。

 ・・・不幸にも予想が当たってしまいました。どうしてこんな杜撰な事が起こってしまったのでしょうか?とても虚しい気持ちでいっぱいです。もうBDの高画質でキューブリックの指示通りのアスペクト比で『バリー…』を観る事ができないなんて残念でなりません。

 でも、まだ希望は捨てていません。オリジナルネガが見つかるかもしれないですし、DVDから高精細にアプコンできる技術が開発されるかもしれません。現にPhotoshopの最新バージョンではピクセルの補完技術が格段に進化しています。ワーナーには責任をとってもらって、DVDの一コマ一コマ全てをフォトショで拡大し、BD化して欲しいくらいです。

 しかしこうなると、スタンリー・キューブリック・アーカイブスが公表しているオリジナル(撮影時)アスペクト比の1:1.77という数字が虚偽だという事になってしまいます。つまり、1:1.58のオリジナルネガ紛失の事実を隠蔽するために、現存しているアンサープリントのアスペクト比1:1.77がオリジナルであると主張しているのではないかという事です。

 もしそうだとすると、かわいそうなのはレオン・ヴィタリです。推測ですが、彼はネガ紛失の事実を知りつつもワーナーからの圧力で、それを隠蔽しなればならなかったのではないでしょうか。そのため、BD発売時のインタビューでは1:1.77を主張しなければならない立場に追い込まれてしまい、DVD発売時との発言の矛盾を突かれ、コアなファンからは嘘つき呼ばわりされてしまっています。

 ワーナーとスタンリー・キューブリック・アーカイブスにはきちっと事実を公表する義務があると思います。誠意ある対応を望みます。

 最後にワーナーに問い合わせていただき、レビューを書いてくださいましたUrotaさんに、この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当に貴重な情報をありがとうございました。

追記:2017年10月にやっと正しいアスペクト比「1:1.66」でクライテリオン版BDがリリースされました。詳しくはこちら

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