【台詞・言葉】私のクイーンを取るの?(You're going take my queen?)
『ロリータ』でハンバートとヘイズ婦人がチェスをしながら交わす会話。「私のクイーンを取るの?」と訊ねるヘイズ婦人にハンバードが「そのつもりですが」と応えます。それは「私の女王様(ロリータ)を取るの?」という問いかけに対し、そのつもりだというハンバートの本音を表しています。そこにロリータが現れるのはその意味を強調するために登場させたのでしょう。そしてハンバートは「それは利口じゃない」と言いながら結局クイーンを奪ってしまいますが、これも「利口じゃない」事件でロリータをハンバートに奪われてしまうヘイズ婦人のその後を暗示しています。
こういった暗喩や皮肉(そのほとんどは性的なもの)が数多く『ロリータ』には存在しますが、これはヘイズ・コード(検閲)を避けるためのキューブリックの苦肉の策でした。そういう事に気を付けながら『ロリータ』鑑賞すれば、より一層面白く感じられる筈です。(・・・というか、あまりにも気づかれていない)それもないまま低評価をされてしまっているというのであれば甚だ残念と言うほかありません。