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 クラークの小説『2010年宇宙の旅』の序文にあった以下の文章を読んで、ぜひその映像を見てみたいと思った方は多いのではないでしょうか。さすがYoutube、あるんですねその映像が。

 あの映画(※『2001年…』)のなかで技術的にもっともすばらしい場面のひとつは、フランク・プールが、ディスカバリー号の居住区をかこむ円弧状のトラックをぐるぐると走る部分だった。巨大な遠心機の回転によって「人工重力」が作られ、そんな運動ができるわけである。

 それから十年近くののち、大成功を収めたスカイラブのクルーが、ステーション内部にこれと似た構造を発見した。壁面にぐるりと取り付けられた貯蔵用の箱が、うまいぐあいになめらかな円弧を描くのである。スカイラブは回転していないが、才気煥発の住人たちはそれくらいではくじけなかった。やがてリスがかごに入れられたハツカネズミ式に、トラックをただ走りさえすれば、『2001年』のあの場面とほとんど見分けのつかない情景となることがわかった。これはテレビで地球に向けて放映され(バックミュージックはあらためて紹介するまでもない)、「スタンリー・キューブリック必見」のコメントが添えられた。やがてスタンリーは、わたしの送ったビデオ録画でこれを見ることになる(テープはとうとう返してもらえなかった。スタンリーはおとなしいブラック・ホールを整理用に飼いならしているからだ)。

(「『2010年宇宙の旅』はじめに」より)

 上の映像は著作権の問題からか、間の抜けたBGMになっていますが、オリジナルはクラークの説明の通りならBGMは『美しき青きドナウ』(※『2001年…』での該当シークエンスではハチャトゥリアンの『ガイーヌのアダージョ』でしたが、クラークが「紹介するまでもない」とするほど有名だとすれば『ドナウ』だと思います)だった筈です。

 このスカイラブ計画、アポロ計画の残債流用という位置づけや、華々しいスペースシャトル計画の間にあったためか、今じゃすっかり地味な存在ですが、当時唯一の本格的な有人宇宙開発計画だったので心踊らせたものです。現在の国際宇宙ステーション(ISS)もこのスカイラブやアポロの実績があってこそ。もっと評価されてもいいと思いますね。

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