【撮影・技術】ADR(Automatic Dialogue Replacement)
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ADR・Dubbing(wikipedia) |
「オートマティック・ダイアログ・リプレースセメント」自動的に台詞を置き換えること。つまりアフター・レコーディング(アフレコ)もしくはダビング。
キューブリックはこのアフレコを毛嫌いしていて、マイクの小型化が実現するとすぐに採用するなど、常に撮影と台詞の同時録音にこだわった。アシスタントのレオン・ヴィタリによると、
「撮影の際に描写される雰囲気が決してADRでは、醸し出すことができないからだと思う」
とインタビューで応えている。
現場では小型マイクとブームマイクを使い分けていたようで、編集の際には他のテイクの台詞の一部分のみを切り出し、使用テイクの音源と差し替えたりするなど、あくまで同時録音にこだわっていたようだ。
キューブリックは処女作『恐怖と欲望』でアフレコに手間取り、当初4万ドルだった経費に更に上乗せして2万~3万ドル余計に支払わされる羽目になり、それもあってこのADRを嫌っていたのかもしれない。
ただし、すべて同時録音だったわけではなく、状況によって(例えば『2001年宇宙の旅』のHALのセリフ)はADRも使用している。