【名曲】トライ・ア・リトル・テンダネス(Try a Little Tenderness)


キューブリックがローリー・ジョンソンに依頼してアレンジした『博士…』バージョン


この曲を一躍有名にしたオーティス・レディングのバージョン


スリー・ドッグ・ナイトのバージョン


ロッド・スチュワートのバージョン

 『博士の異常な愛情』のオープニングに使用された『トライ・ア・リトル・テンダネス』は様々なアーティストにカバーされていて、上記の他にビング・クロスビー、フランク・シナトラ、クリス・コナーなどもカバーしているようです。

 歌詞は「男を若い女に取られた女性には、少しだけ優しく慰めてあげたらいい」という内容でとても思いやりに満ちた美しいラブソングなのですが、それを爆撃機の空中給油のシークエンスにかぶせるというセンスがいかにもキューブリックです。

 この空中給油はよく性的な意味合いで語られる事が多いのですが、歌詞を読む限りもっと純粋で、切なく優しい歌ですね。エンディングで流れる『また会いましょう』もラブソングと簡単に語られてしまっていますが、これも別れの切なさの歌です。つまり、この曲はエンディングの伏線であり、対にもなっているのです。この手法はキューブリックが好んで使っていて、『突撃』の『ラ・マルセイエーズ』→『忠実な兵士』、『フルメタル…』の『ハロー・ベトナム』→『黒く塗れ』と同じです。

 他の手法としては、劇中のキーになる曲を再度エンディングに使う(『2001年…』『時計…』『シャイニング』)、オープニングとエンディングが同じ曲(『バリー…』、『アイズ…』)と計3パターンに分類できます。この辺りの考察も今後記事にまとめたいと思います。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【関連記事】「十代のキューブリックがニューヨークの地下鉄であなたの祖母を密かに撮影したのでしょうか?」キューブリックのルック社時代の写真『地下鉄シリーズ』、新たに18枚のプリントが見つかる

【考察・検証】キューブリックはなぜ『2001年宇宙の旅』の美術デザインを手塚治虫に依頼したか?また、もし参加していればどうなっていたか?を検証する

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【考察・検証】作品タイトルを『短期除隊兵(ショート・タイマーズ)』から『完全被甲弾(フルメタル・ジャケット)』に変更したキューブリックの真意とは

【関連書籍】戸田奈津子 金子裕子著『KEEP ON DREAMING』で語った、『フルメタル・ジャケット』翻訳家降板事件の戸田氏の言い分

【ブログ記事】スタンリー・キューブリックが遺した約1万6千枚もの写真がネット上に公開中

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』の儀式・乱交シーンについてのスタッフの証言集[その1]儀式シーンのリサーチについて

【関連記事】手塚治虫『惑星ソラリス』『2001年宇宙の旅』を激賞する

【考察・検証】キューブリックの死因にまつわる噂について

【考察・検証】『2001年宇宙の旅』に登場したコンピュータ「HAL9000」の変遷と「IBM→HAL説」の真偽を検証する