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 『ロリータ』でジーンがハンバートにこう問いかけるのは、いわゆる「夫●交換(ス●ッピング)」を指しての事でしょう。「大学教授で作家でもあるあなたと同じように、私たちも進歩的文化人なのでこういった〝革新的な〟関係も結べますよ」という意味ですね。もしくはそういった人たちが集まっているダンス・パーティーなので、その場にいるキルティも進歩的文化人である、と示すためでしょう。ただハンバートは思想的にも性的にも「勘が悪い」ので、その真の意味になかなか気づかない・・・という図式が『ロリータ』では繰り返されます。

 こういった「進歩的思想」に対する皮肉や、性的暗喩は表現を検閲機関に大幅に規制されたキューブリックのせめてもの抵抗なのですが、その意図をちゃんと理解して鑑賞するなり批評するなりして欲しいですね。その意味ではキューブリック作品の中では一番誤解され、冷遇されているのがこの『ロリータ』ではないか、そう考えます。

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