【ブログ記事】ソール・バスが描いた『シャイニング』のポスターのボツ案

  キューブリックはかの有名なタイトルデザイナー、ソール・バスに『シャイニング』のポスター製作を依頼しましたが、そのボツ案をキューブリックのコメントと共に紹介します。

まるでSF映画みたいだ。ロゴが読みづらい

手と三輪車というのは見当違いだ。ロゴも小さすぎるし、インクがなくなったように見える

迷路と登場人物はやり過ぎ。迷路を出すべきだとは思わない

アートワークが好きじゃない。ホテルが変だ。アートワークが広がり過ぎだ。コンパクトで十分。ロゴに点を使うのは好きじゃない。小さすぎるし読みづらい



 キューブリックの悪筆をなんとか解読してみましたが、だいたいこんな事を書いているみたいです。どれももっともな指摘ばかりで納得できるのですが、ソール・バスもなぜこんなクオリティの低いアイデアばかり提出したのか謎です。キューブリックはダメ出しを繰り返し、結局300案以上をバスに提出させたそうです。

 1枚目は完全に『未知との遭遇』を意識してのコメントでしょうね。2枚目はどこから手のビジュアルが出てきたのか不明です。3枚目は思いっきりネタバレしたいますから不採用は当然でしょう。4枚目の迷路が目になっているのは迷路が霊として家族を見ているのを表現しているのでしょうけど、ちょっと分かりにくいですね。5枚目は雪に閉ざされたホテルの孤立感を表現したかったのかも知れませんが、逆にキューブリックの不評を買っています。

 結局採用された案はこれですが、これもいい出来だとは思えません。映画告知の初期やサントラ盤のジャケットに使用されたくらいで、現在はジャック・ニコルソンの『Here's Johnny!』が一般化しています。ただしタイトルロゴだけはしっかりとその後も使用され続けているので、バスもデザインした甲斐があったと思っていたかもしれません。

 グラフィックデザイナーとしてのソール・バスの神髄はやはり映画のタイトルデザインにあると思います。デザインとグラフィカルな動きのかっこよさですね。CGのない時代にこんなにCG的な発想ができたデザイナーは他にいません。ただキューブリックは「タイトルバックに回すお金があるなら本編に回す」と、けんもほろろなことを言っています。まあ、それでもあれだけ力強いオープニングを作るのですからさすがですけどね。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【考察・検証】キューブリックはなぜ『2001年宇宙の旅』の美術デザインを手塚治虫に依頼したか?また、もし参加していればどうなっていたか?を検証する

【台詞・言葉】『時計じかけのオレンジ』に登場したナッドサット言葉をまとめた「ナッドサット言葉辞典」

【考察・検証】作品タイトルを『短期除隊兵(ショート・タイマーズ)』から『完全被甲弾(フルメタル・ジャケット)』に変更したキューブリックの真意とは

【考察・検証】『シャイニング』の【初公開版(146分)】【北米公開版(143分)】【コンチネンタル版(119分)】の違いを検証する

【上映情報】『2001年宇宙の旅』の日本での上映記録のまとめ

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』の儀式・乱交シーンについてのスタッフの証言集[その1]儀式シーンのリサーチについて

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【関連動画・関連記事】1980年10月24日、矢追純一氏によるキューブリックへのインタビューとその裏話

【関連動画】4K UHD『時計じかけのオレンジ』とDVD、BDの画質を比較した動画

【関連動画】『2001年宇宙の旅』の未公開シーンとセット画像を集めた動画と、クラビウス基地で登場したハンディカメラをニコンがデザインしたという説明の信憑性について