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2021年に開催された『チャイルドウィックベリー・アートフェアー』の様子。動画制作はカタリーナの三男、ジャック・ホッブス

キューブリック所有のチャイルドウィックベリー邸、毎年恒例のアート&クリスマスイベントを中止

 米国の映画監督スタンリー・キューブリックの遺族は、彼がかつて住んでいた英国でのアートフェスティバルとクリスマスマーケットを今後開催しないことを明らかにした。ハートフォード・シャーにあるチャイルドウィックベリー・エステートでのイベントは、20年にわたり彼の芸術家の妻が主催していたものです。クリスティアーヌ・キューブリックは現在90歳で、そろそろ引退の時期だと感じています。娘のカタリーナ・キューブリックは、主催するのは「大変な仕事」であり、母はもうそれをしない「権利を得た」と考えている、と語っています。

〈以下略〉

(引用:BBC.com/2023年1月12日



 キューブリックの長女、カタリーナは「私の母は5月に91歳になり、もうやりたくないと思っています。大変な仕事ですが、彼女は自分の役割を果たしたと思います」と語っているそうなので、残念ですが昨年のクリスマス・マーケットが最後ということになるそうです。

 キューブリックとクリスティアーヌは『突撃』のラストシーンに登場するドイツ人少女としてキャスティングされたのをきっかけに恋人同士になり、結婚し、その後の生涯を「良き伴侶」として過ごしたのですが、1999年にキューブリックが亡くなった後も自身は画家・アーティストとして活動を続けてきました。キューブリックはクリスティアーヌに女優の仕事を続けて欲しかったのですが、クリスティアーヌは女優業にはあまり乗り気ではなく、画家になりたかったと語っています。そんなクリスティアーヌをキューブリックは頼りにし、作品中のあちこちに飾られた絵画はクリスティアーヌの作品であったり、『2001年宇宙の旅』では異星人の造形を手伝ったりもしています。

 また、それ以上に重要なのは、映画製作で悩んだり苦しんだり落ち込んだりした時に、励まし続けたのはクリスティアーヌだったという事実です。他人には自信たっぷりに振る舞うキューブリックでしたが、うまく事が運ばないと自虐的になることもあり、そんなキューブリックを精神面で支えたのがクリスティアーヌだったのです。

 そのクリスティアーヌも今年5月で91歳になります。今後はゆっくりと自分の時間を生きていただけたらと思います。長い間お疲れさまでした。

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