【サウンドトラック】バリー・リンドン サウンドトラック(Barry Lyndon Sound Track)

  1.  Sarabande-Main Title (2:43) サラバンド=メイン・タイトル|George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  2. Women Of Ireland (4:12) 愛のテーマ(アイルランドの女)|Sean O Riada / The Chieftains
  3. Piper's Maggot Jig (1:43) パイパーズ・マゴット・ジグ|Traditional / The Chieftains
  4. The Sea-Maiden (2:06) 海の乙女|Traditional / The Chieftains
  5. Tin Whistles (3:45) ティン・ホイッスルズ|Sean O Riada / Paddy Moloney And Sean Potts
  6. British Grenadiers (2:15) イギリスの擲弾兵|Traditional / Fife and Drum Ensemble
  7. Hohenfriedberger March (1:17) フレデリック大王=ホーヘンフリードベルゲル行進曲|Frederick the Great / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  8. Lilliburlero (1:09) リリブレロ|Traditional / Fife and Drum Ensemble
  9. Women Of Ireland (0:56)  愛のテーマ(アイルランドの女)|Sean O Riada / Derek Bell
  10. March, from Idomeneo (1:33) イドメネオより「行進」|Wolfgang Amadeus Mozart / Colin Davis, Royal Philharmonic Orchestra
  11. Sarabande-Duel (3:15) サラバンド―決闘|George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  12. Lilliburlero (0:55) リリブレロ|Traditional / Leslie Pearson
  13. German Dance No. 1 in C Major (2:18) ドイツ舞曲第一ハ長調|Franz Schubert / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  14. Sarabande-Duel2 (0:52) サラバンド―決闘|George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  15. Cavatina from "Il Barbiere di Siviglia" (4:32) セヴィリアの理髪師|Giovanni Paisiello / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra
  16. Cello Concerto E minor (3rd movement) (3:53) チェロ・コンチェルト・ホ短調(ヴィヴァルディ)|Antonio Vivaldi / Pierre Fournier; Rudolf Baurngartner; Cello Festival Strings Lucerne
  17. Bach: Adagio, from Concerto for Two Harpsichords and Orchestra in C minor (5:17) アダジオ―二台のハープシコードのための協奏曲から|Johann Sebastian Bach / Karl Richter and Hedwig Bilgram, Munich Bach Orchestra
  18. Piano Trio in E flat Major, Op. 100 (2nd movement) (4:18) ピアノ三奏曲ホ短調作品100より|Franz Schubert / Holmes-Welsh-Goldstone Trio
  19. Handel: Sarabande-End Title (4:09) サラバンド=メイン・タイトル|George Frederick Handel / Leonard Rosenman, National Philharmonic Orchestra



 キューブリックが『バリー・リンドン』を製作するにあたり「サントラでは1曲も曲を書き起こす事をせず、全て18世紀の既存曲、もしくはそのアレンジでいく」と決意したのはいいのだが、それには様々な苦労があったようだ。

 まず大前提の「18世紀の既存曲」が「18世紀には悲劇的でロマンチックな曲がなかった」と、19世紀の楽曲であるシューベルト『ホ短調 三重奏曲 作品100』を採用せざるを得なくなってしまった。残りの曲はアレンジされる事になり、ジェームス・ディーンの『エデンの東』や『理由なき反抗』で作曲をしたレナド・ローゼンマンを起用。バッハ、ヘンデル、モーツァルト、シューベルト、ヴィヴァルディなどを編曲・録音した。しかし当のローゼンマンはこの仕事にかなり不満で

 「あの信じ難く退屈な映画に、私が選び出した音楽が繰り返し繰り返し流されるのを前にして、私は思ったよ『何てこった!滅茶苦茶じゃないか!』って。アカデミー賞は断るつもりだった」(引用:『キューブリック全書』より)

と述べている。

 キューブリックが映像を18世紀の古色蒼然とした世界を忠実に再現するのに拘ったように、音楽にも同様のスタンスで望んだのは当然と言える。音楽考証的には多少目を瞑っても、どんな批判を受けようとも、それは絶対やり遂げなければならない命題だったのだろう。その判断が正しかった事は、21世紀の現在に於いて『バリー…』を見返してみても、この「古色蒼然とした18世紀の空気感」は全く損なわれていないという事実が証明している。

 時代物の多くの映画が、その作られた年代の空気をなんとなく感じさせてしまい、観返すだけの価値を失ってしまっている事を考えれば、キューブリックの徹底した拘りがもたらしたこの「普遍性」は、映像の力だけではなく音楽(選曲)のセンスによるものも大きいと言えるのではないだろうか。

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