【考察・検証】映像、映画の究極の探究者「スタンリー・キューブリック」

  20世紀を代表する映画監督の一人であり「巨匠」と呼ぶにふさわしい偉大な映像作家。徹底的に細部までこだわる完全主義者と呼ばれ、脚本や演出はもちろん、音楽、美術セット、編集、広告、字幕スーパーに至るまで、映画制作に関わる全ての事柄に権限を持ち、正しい判断を下すためのチェックを怠らない、現在の分業化が進んだ映画界に於いて、非常に希有な存在であり続けた。

 また、キューブリックは自分が追い求める映像がいかに困難な作業を伴ったり、膨大な時間や予算を費やしたりしても、ありったけの知識と斬新なアイデアと最高のテクノロジーで立ち向かい、克服してしまう。その貪欲で飽くなき向上心でフロント・プロジェクション、スリット・スキャン、高感度レンズなどの採用、ステディカムの効果的な使用など映画界に多大な影響と足跡を残している。

 過剰な演出をせず、自然な照明を好み、無駄を排した台詞や映像で語られるキューブリックの作品は、現在の「ジェットコースター・ムービー」を見慣れた眼には退屈に映るかも知れない。しかし、現実主義者でもあるキューブリックはその姿勢を決して崩そうとはしない。そこには「映像が語る映画を作る」という、キューブリックの「映像作家」としてのプライドと本能が感じられる。

 寡作な作家であったキューブリックは、決して多くの作品を残してはいない。だが、数は少なくても、どの作品も永遠に輝きをを失うことはないだろう。それはどの作品でも、常に「人間の本質とは何か?」という普遍的なテーマを追及し続けていたからに他ならない。

 「スタンリー・キューブリック」。この偉大にして孤高を誇る映画監督、映像作家は映画という総合芸術の究極の探究者として、永遠に語り継がれるに違いない。

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