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 『アイズ ワイド シャット』の脚本を担当した小説家フレデリック・ラファエルが、『アイズ ワイド シャット』の製作に関わる経緯と、製作の裏側を克明に綴ったドキュメント。

 いわゆる暴露本としてクリスティアーヌは批判しているが、個人的にはキューブリックの実像がよくわかる書として好意的にこれを読んだ。この本によると、いかにキューブリックがストーリーメーカーとしての小説家を高く評価しながらも、小説家の頭の中にあるシーンの画を排除したがってたかよく分かる。つまりキューブリックは「すぐれたストーリーは欲しい」が、「小説家が頭の中で描いた画は不要」なのだ。この本によるとキューブリックは、ラファエルにさんざんストーリーをふくらまさせた揚げ句、その骨子だけ残して全部捨て去ってしまうプロセスが詳しく語られている。

 ストーリーやコンセプトを言葉に頼らざるを得ない小説家と、言葉はもちろん、画や音楽、編集や色彩でさえ駆使できる映画監督とではそのアプローチの方法が異なって当然。ただ、そんな使い捨てのように扱われる脚本の仕事が小説家にとって満足のゆくものであるはずが無く、不満たらたらなのも理解できる。

 この本でのラファエルの恨み節と、自分寄りの描写の部分を除けばけっこう貴重な証言だと思うのだが。

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