【登場人物】ハートマン先任軍曹(Sergeant Hartman)
『フルメタル…』で、そのあまりにも洗練かつ独創的な罵詈雑言により、物語前半で強烈なインパクトを残すアメリカ海兵隊パリス・アイランド新兵訓練基地教官。
このハートマンを演じたリー・アーメイは当初、軍事アドバイザーとしての参加だったが、実際に訓練教官だった経歴を買われ、この役に大抜擢されたのは有名な話。アーメイによると「この役が欲しかったので奪い取った」のだという。
このハートマン先任軍曹によって繰り出された「黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん。すべて平等に価値がない!」とか「アカの手先のおフェラ豚!」とか「おまえの顔を見たら嫌になる! 現代美術の醜さだ!」とか「タマ切り取ってグズの家系を絶ってやる!」とかの名言により、世界中の「両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない」「地球上で最下等の生命体」どもから熱い支持を受け、パロディやリアルなアスキーアートまで作られる始末。
まあ、それはそれで良いのだが、やはり『フルメタル…』におけるハートマンの意味をもう少し考えては欲しい。つまり「兵隊」という大量消費材の製造工場で、「パイル」という不良品ができてしまった責任を「現場責任者」だったハートマンが取らされた、という事。この数々の罵詈雑言も新兵製造工場における「製造装置」のひとつに過ぎないのだ。