【関連記事】THE NEW YORKER誌に『博士の異常な愛情』のパロディが登場


バリー・ブリットの「Left to Their Own Devices」

トランプ政権のそれほど機密扱いされていないグループチャット。

 2025年4月7日号の表紙で、漫画家のバリー・ブリットはスタンリー・キューブリック監督の1964年映画『博士の異常な愛情 あるいは私は如何にして心配するのをやめ、核爆弾を愛するようになったか』のビジュアルイメージを借用し、最近ニュースを見る誰もが襲われる切迫した破滅感を表現している。そして、シグナルゲート事件を受けて、デイヴィッド・レムニックが書いているように、トランプ政権がその独裁的な意図を隠そうとしなかっただけでなく、「その悪意、報復、そして途方もないスピードという性質が、その指導者たちの無能さを幾分か覆い隠している」ことが明らかになった。

 恐怖と安全策に関するその他の記事については、以下を参照してください。

(引用:THE NEW YORKER/2025年4月7日



 記事にある「シグナルゲート事件」とは、イエメンのフーシ派に対する攻撃情報をこともあろうか「シグナル」というメッセージアプリを使ってやりとりし、それが漏洩(原因は関係者の単純なアプリ操作ミス)したという事件なのですが、それは『博士の異常な愛情』で、核攻撃を止める暗号文を公衆電話で、しかも交換手を通して平文で伝えようとしたシーンを彷彿とさせる話です。

 それを受けてのこの表紙イラストだと思うのですが、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻以来、キナ臭い話題には『博士…』がよく引用されます。まあ昔から戦争に関する話題でこのような引用は散見されたのですが、現在は「核攻撃」がシリアスな問題になっていますので、正直笑ってもいられません。だた、『博士…』公開当時のアメリカの切迫感を身近に感じられるという意味では、貴重な「追体験」と言えなくもないですが・・・。せめてこの程度の「追体験」で終わって欲しいと願うばかりです。

TOP 10 POSTS(WEEK)

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

【関連記事】撮影監督ギルバート・テイラーが『博士の異常な愛情』の撮影秘話を語る

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【オマージュ】キューブリックの孫、KUBRICKの『MANNEQUIN』のMVがとっても『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

【インスパイア?】「白いモノリス」らしき物体が登場するピンク・フロイド『ようこそマシーンへ(Welcome to the Machine)』の公式MV