【関連動画】キューブリックが憧れたスクープカメラマン、ウィージーにインスパイアされた映画『裸の街(The Naked City)』の全編がYouTubeにて公開中


  ジュールズ・ダッシン監督、バリー・フィッツジェラルド、ハワード・ダフ、ドロシー・ハート、ドン・テイラーらが出演した1948年公開の映画『裸の街(The Naked City)』。この映画は事件現場の血なまぐさいスクープ写真を発表していたウィージー(本名アッシャー・フェリグ)の写真集『裸の街』にインスパイアされたもので、ウィージーはビジュアルコンサルタントとして製作にも協力しています。そのウィージーのファンだった、当時ルック社の若きカメラマンのキューブリックはこの映画の撮影現場を訪れ、取材写真を撮影しています。

 その後映画監督になったキューブリックは、『博士の異常な愛情』のスチール写真撮影のためにウィージーを招聘、ついに憧れの人と一緒に仕事をすることになったのですが、オーストリア出身のウィージーのドイツ語訛りの英語は録音され、それをピーター・セラーズが真似てストレンジラブ博士のキャラクターが出来上がりました(ウィージーのインタビュー動画はこちら)。

 ところでこの映画、キューブリックのフィルム・ノワール『非情の罠』製作に影響を与えたかもしれません。映画をどうしても当てたかったキューブリックにとって、この『裸の街』が大ヒットしたこと。撮影がニューヨークで行われ、その現場を取材していたことなどがその根拠です。もちろん証言はありませんので推測の域を出ませんが、当時資金もコネも何もないキューブリックにとって、身近な題材で、慣れ親しんだ街で撮影できるテーマやジャンルを選んだとしても何の不思議もないと思います。

 その写真集『裸の街』を紹介した動画は以下をどうぞ。キューブリックの写真集『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』(詳細はこちら)と比べてみても、やはり影響は感じられます。キューブリックはダイアン・アーバスの影響云々とよく言われるのですが、キューブリックがカメラマンだった頃はアーバス夫妻は売れっ子の単なるファッションカメラマンでしかなかったのでそれは間違いです。キューブリックの志向(嗜好)に合致するのは断然ウィージーだということがこれでよくわかりますね。


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