【関連記事】『2001年宇宙の旅』1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。その先見性に驚く



スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF

 「2025年、年初に何を見る?」思った時に思いついたのが、『2001年宇宙の旅』だった。

 1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。60年近い歳月がたった今でも「名作」と呼び名が高い作品だ。正直に告白するが、私は約60年の人生で既に2回、この作品を見ようとして挫折している。

 しかし2025年を迎えた時、『2001年宇宙の旅』を見たいという、強烈な思いにとらわれた。断片的な記憶が私の脳裏に蘇り、全容を知らずにいられなくなった。そもそも私の大好きな『スパルタカス』を撮ったスタンリー・キューブリックの作品。今回はイケるんじゃないかという予感を抱き、私は夫と共にこの作品を見た。そしてやっと私はこの作品に痺れ、思った。「映画史に残る名作だよ!!」と。

〈以下略〉

(引用:婦人公論.jp「映画評論 さかもと未明のシネマニア」/2025年2月11日



 さかもと未明氏による『2001年宇宙の旅』の感想文です。あくまで「感想」ですね。この方1965年生まれということなんですが、「子どもの頃から大の映画好き」という割には内容が浅く、薄いな、という印象。アーティストを名乗る(自称する)ならこの作品の摂取は常識だと思っていたのですが、そういう意味でも残念なテキスト。一般的な中高生ぐらいの感想なら微笑ましいと思えるんですけどね。

 終盤、木星の引力圏に引き込まれて落下していくデヴィッド船長が見るイメージは、死の前に見る走馬灯だろうか? 

 解釈は人それぞれでいいんですが、それはストーリーを正しく理解していることが前提です。上記引用にようにそれがおぼつかないと、解釈も意味不明なものになってしまいます。『2001年…』で語られる誤解の多くは「ストーリーを正しく理解していないこと」に起因しています。さすがにキューブリックもそれはマズいと思ったのか、折に触れて「最低限のプロット説明」と前置きをしつつ、ストーリーの説明をしています。

 そのストーリーが示唆する意味や意義、哲学や思想については各自が自由に考えれば良いことだ、とキューブリックは語っています。それを「ストーリーは自由に解釈して良い」と曲解している人のなんと多いこと。残念ながらこのさかもと未明氏もその中の一人ということになってしまっていますね。

 

TOP 10 POSTS(WEEK)

【インスパイア】『2001年宇宙の旅』のHAL9000に影響されたと思われる、手塚治虫『ブラック・ジャック』のエピソード『U-18は知っていた』

【関連記事】キューブリックは『時計じかけのオレンジ』のサントラにピンク・フロイドの『原子心母』の使用を求めたがロジャー・ウォーターズが拒否した話をニック・メイソンが認める

【関連記事】撮影監督ギルバート・テイラーが『博士の異常な愛情』の撮影秘話を語る

【関連記事】英誌『Time Out』が選ぶ「映画史上最高のベストセッ●スシーン50」に、『アイズ ワイド シャット』がランクイン

【関連記事】抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

【台詞・言葉】ハートマン先任軍曹による新兵罵倒シーン全セリフ

【オマージュ】キューブリックの孫、KUBRICKの『MANNEQUIN』のMVがとっても『時計じかけのオレンジ』だった件

【台詞・言葉】『フルメタル・ジャケット』でのハートマン軍曹の名言「ダイヤのクソをひねり出せ!」のダイヤとは「●ィファニーのカフスボタン」だった件

【関連記事】2021年9月30日に開館したアカデミー映画博物館の紹介記事と、『2001年宇宙の旅』の撮影プロップ展示の画像

【インスパイア?】「白いモノリス」らしき物体が登場するピンク・フロイド『ようこそマシーンへ(Welcome to the Machine)』の公式MV