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【ブログ記事】『アイズ ワイド シャット』の未公開シーンの撮影風景3枚

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   『アイズ ワイド シャット』の未公開シーン。どの画像もアリスが海軍士官との浮気願望を覚えた、夏の休暇で行ったケープコッドのシーンだと思います。1枚目は「ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ」にも掲載がある、以前から知られていたボート遊びのシーン、2枚目はニコール・キッドマンが乗馬をしているシーン、3枚目は珍しいトム・クルーズが自転車に乗るシーンです。  ケープコッドはwikiによるとアメリカ東海岸の有名な避暑地で、ケネディの別荘があることでも知られているそうです。日本で言えば軽井沢のようなイメージでしょうか?原作小説『夢奇譚』では一家の休暇はデンマーク(舞台はウィーン)だったのですが、秘密のパーティーのパスワードもデンマークであったため「偶然にしてはできすぎ感がある」ということで、避暑地はケープコッド、パスワードは「フィデリオ」に変更したのだと思います。そもそも舞台が19世紀末のウィーンから20世紀末のニューヨークに改変されているので「デンマーク」は使うことはできませんでしたが。  キューブリックの飛行機嫌いのため、撮影はアメリカのケープコッドで行われたはずがなく、似た風景のおそらくロンドン郊外のどこかだと思います。原作小説でもこの休暇のくだりはあまり重要ではないので、撮影をしていたこと自体が驚きなのですが、どのシーンも「休暇といえばサイクリング、乗馬、ボート遊び」的なありきたりなシチュエーションですし、回想シーンの予定でしょうから映画でも重要度は低いですね。カットするかもしれないけどとりあえず念のために撮影しておいた・・・という程度だと思います。

【考察・検証】スターゲート・シークエンスの「マインドベンダー」シーンに登場する、謎のダイヤモンド型の物体の正体を検証する

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謎のダイヤモンド型の物体が登場するスターゲート・シークエンスの一場面 シーンタイトル「マインドベンダー」と記されたサスコカード   スターゲート・シークエンスに登場する謎のダイヤモンド型の物体、これは「異星人」「UFO」「スターゲートの一部」など様々な解釈がされています。このシーンには「マインドベンダー」というタイトルがつけられていて、それは残されたサスコカードで確認できます。「マインドベンダー」とは「複雑で理解するのが難しいことがら、催眠術師」という意味だそうですが、その響きから当時世界中で流行していたいわゆるサイケデリック(ドラッグ)・カルチャーの影響を強く感じさせます。では、このマインドベンダーのシーンに登場する、光り輝くダイヤモンド形の正体は一体なんなのでしょう?まず、ジェローム・アジェル編『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』には以下の記述があります。  キューブリックの「幻覚剤(マインドベンダー)」効果。スリット・スキャン映像は3フィートの高さの回転しているリグに取り付けられた多面スクリーンに投影し、7つのダイヤモンドが現れるまで繰り返した。(引用:ジェローム・アジェル編『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』)  このシーンの制作に関わったダグラス・トランブルはもう少し詳しく、以下のようにコメントしています。 The most complex aspect was a shot dubbed the ‘mindbender,’ which combined seven octahedrons arranged in the top half of the frame and the slit-scan process. Trumbull said, “We had exhausted the slit-scan, shooting vertically and horizontally, so I came up with the idea of shining the light onto Plexiglas to create this kind of pulsating effect. Each [octahedron] had four visible sides, each needing 3 passes, so as you c...

【プロップ】『2001年宇宙の旅』でアンテナ故障予知のワイヤーフレームのアニメーションは、実は本当にワイヤーフレームだった件

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HALのモニタに表示されたワイヤーフレーム「偽」CGアニメーション 撮影中(テストの可能性も)のアンテナ アンテナのネガフィルム。8×10に見えます。たとえ「賑やかし」映像でも手は抜きません アンテナの針金模型を制作するトランブル  この事実を初めて知った時は衝撃的でした。キューブリックの逝去前から「『2001年宇宙の旅』は一見最先端の撮影技術を駆使しているかのように見えるが、実はかなりの部分が手作業(力技)で、それを恐ろしく時間をかけ、かつ高品質でそれを行っている」と言われていたのですが、近年明かされるその「手作業」の部分にはいつも驚かされます。  このアンテナユニットのワイヤーフレームCGアニメーションもその一つで、実は文字通りアンテナユニットをワイヤー(針金)で作って白く塗り、それを自由台座の上に据え付けてコマ撮り撮影し、ネガファイルムを作成したそうです。言われてみれば動きが微妙に手作りアニメーションっぽいですね。  このアニメーションを製作したのはあのダグラス・トランブル。トランブルの『2001年…』における八面六臂の活躍ぶりは凄まじく、キューブリックが『2001年…』で重要な役割を果たした特撮マン4人の内の一人に挙げるのも納得です。ただ、ご本人はアカデミー賞視覚効果賞の受賞をキューブリックに持って行かれたことにかなり不満だったそうですが。  でもそのトランブルに、ツァラトゥストラ演奏付きのオープニングの映像を観せて「これでいいかな、それともやりすぎかな?」と客観的な評価を仰ぐキューブリックがいい。トランブルは「素晴らしいと思います。僕は好きですよ、これでいってくださいよ」と応えたそうですが、このエピソードひとつとってみても、キューブリックがトランブルの才能を高く評価していたのが伺えますね。

【考察・検証】『フルメタル・ジャケット』のエンディングに使用された『黒くぬれ!』は、キューブリックのファーストチョイスではなかったのではないか?という推論

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ダナンの基地に置かれたミッキーマウスの人形  1988年に公開されたスタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット』。そのエンディング曲に使用されたザ・ローリング・ストーンズの『黒くぬれ!(Paint It, Black)』ですが、公開当時、映画ファンやロックファンの間ではあまり評判が良くありませんでした。なぜなら当時流行していたベトナム戦争映画では必ずロックが使われていたし、しかもよりによって「誰でも知っている」レベルのありきたりな曲だったからです。  この使用についてキューブリックは 「ストーリーをまとめたいと思うなら、あの曲を使うよ。また、ローリング・ストーンズはあの頃のシンボルのようなもので、あの曲はちょうどいい時期に世に出てきた。だからあの時代はローリング・ストーンズ抜きには語れないんだ」(引用元:キネマ旬報1988年3月上旬号) と発言しています。時代の象徴のストーンズという意味はわかりますが、では他の曲ではなくなぜ『黒くぬれ!』なのかはこれではわかりません。一説によるとキューブリックはポップ・ミュージックに疎く、この曲が「有名すぎるぐらい有名な曲」だということを知らなかったのではないか?という話もあります。  キューブリックにしてはあまりにも安易(たとえ「戦争の真実は権力によって黒く塗りつぶされる」という意図だとしても)ではないか?と考えた管理人は、他に理由があるのではないかと考え、「実はキューブリックはこの『黒くぬれ!』はファースト・チョイスではなかったのでは?」と、以下のような仮説を提唱しています。  キューブリックは当初、行軍で『ミッキーマウス・クラブマーチ』歌うシーンに続けて、エンディングに『ミッキーマウス・マーチ』のオリジナルバージョンを使用する予定だったが、ディズニーから許可が下りず、仕方なくセカンンドチョイスとして『黒くぬれ!』を使用した。  その根拠として、キューブリックは『ミッキーマウス・クラブマーチ』について 『ミッキーマウス・クラブ』の歌は実際に海兵隊員によって歌われたんだよ。もっとも「MICKY MOUSE」ではなく「FUCKED AGAIN」と歌ってたけどね。この『ミッキーマウス・クラブ』の歌を歌ったのは18~19歳の少年兵で、彼らは数年前までTVで『ミッキーマウス・クラブ』を見ていたんだ。彼らがつい最近まで子供だ...

【ブログ記事】スタンリー・キューブリック監督に関する「超マニアック」クイズ

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 スタンリー・キューブリック監督に関する「超マニアック」クイズを作成しました。設問は10問までしか設定できませんでしたので、自主制作の『恐怖と欲望』『非情の罠』、キューブリックが自作と認めていない『スパルタカス』は省きました。  自分自身のマニア度を客観的に評価できないので、設問の難易度設定には苦労しました。タイトルに「超マニアック」と入れましたが、人によって難易度の感じ方はさまざまだと思います。管理人もTwitterで見かけるこういったクイズに何度か挑戦したことがあるのですが、「激ムズ」といいながらそんなに難しくない(ほとんど答えがわかり、数問だけカンで答えれば全問正解してしまう)ものが多いのですが、当ブログが作る以上、そんなに簡単では「その程度?」と思われるのも嫌なので、キューブリック全作品を一通り観ただけでは全問正解できない程度には難しくしました。また、「ひっかけ問題」もありますので注意してお答えください。  もちろんこの結果で「キューブリック愛」をはかろうというものではないので、「お遊びのひとつ」程度とお考えいただければいいと思います。それよりも解説を充実させることで、遊んでいただいた方にキューブリックに関する知識を増やしていただけるように配慮したつもりです。ですので、ぜひ解説も読んでくださいね。  それでは、 こちら から皆様の挑戦をお待ちしております!

【関連動画】激レア!!『時計じかけのオレンジ』1973年のTVスポット

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  これはすごい!よくこんなの残っていましたね。1973年にTVスポットとして使用された16mmフィルムなのですが、30秒に収めるために予告編の後半部分がカットされています。途中「R指定」というナレーション(多分)が入るのもレア。タイトル画像にもR指定と明確に表示されていて、公開当時物議を醸した映画であることが伺えます。下記の劇場版の予告編と比べてみると編集具合がよくわかりますね。