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【TV放映情報】NHK BSプレミアムシネマで2月26日(水)午前0:05より『フルメタル・ジャケット』オンエア決定

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 「フルメタル・ジャケット」 鬼才スタンリー・キューブリック監督が、ベトナム戦争を舞台に、殺人兵器へと変貌していく新兵たちと過酷な戦場を痛烈なユーモアと迫力の演出で描く傑作戦争映画。サウスカロライナ州の海兵隊訓練基地で、鬼教官ハートマンの地獄の特訓を受ける新兵たち。人間性をなくすことを求められ、追い詰められていくうち、不器用な劣等生レナードは精神に異常をきたしてしまう。やがて新兵たちはベトナムの戦場へ送り込まれていくが…。 作品情報 放送日時:2月26日(水)午前0:05~午前2:03 内容時間:1時間58分 (原題:FULL METAL JACKET) 〔製作・監督・脚本〕スタンリー・キューブリック 〔原作・脚本〕グスタフ・ハスフォード 〔脚本〕マイケル・ハー 〔撮影〕ダグラス・ミルサム 〔音楽〕アビゲイル・ミード 〔出演〕マシュー・モディン、アダム・ボールドウィン、ヴィンセント・ドノフリオ、R・リー・アーメイ ほか (1987年・アメリカ)〔英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ〕 (引用: NHK BSプレミアムシネマホームページ )  『フルメタル・ジャケット』は民放のBSやCSの映画番組で割とよくオンエアされていますが、NHK BSでオンエアされることはあまりなかったか、ひょっとしたら初めてかもしれません。少なくともこのブログの記録にはありませんでした。  コンプライアンスが声高に叫ばれる現在、ハートマン軍曹の罵詈雑言や猥褻なセリフがNHKの放送倫理規定にひっかかる可能性がありますが、それと同時に制作者(特に故人)の意思も尊重されるべきという認識も広く定着するに至りました。この二律背反な状況でNHKがどんな判断をするのか非常に興味がありますが、深夜帯ということを考えれば何事もなかったかのようにそのままオンエアするか、「制作者の意図を尊重しそのまま放送いたします」というテロップが表示されてから本編が始まるという対応が一番現実的ではないかと思います。  まさか字幕の一部を伏せ字にするとか、当たり障りのない訳に変更するとかしないとは思いますが、そうなればそうなったで「盛り上がる」ので(苦笑)オンエアを楽しみに待ちたいと思います。 情報提供:崎環さま

【上映情報】「午前十時の映画祭15」で『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』上映決定!!

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 「午前十時の映画祭15」はリクエスト特集として、2024年8月31日(土)まで特設サイトか郵送で上映作品のリクエストを募集しました。その結果約7万票が集まり、以下の順位になりました。 第1位 バック・トゥ・ザ・フューチャー 第2位 タイタニック 第3位 2001年宇宙の旅 第4位 ニュー・シネマ・パラダイス 第5位 七人の侍 第6位 サウンド・オブ・ミュージック 第7位 レオン 完全版 第8位 アマデウス 第9位 風と共に去りぬ 第10位 E.T. 第11位 時計じかけのオレンジ 第12位 羊たちの沈黙 第13位 エイリアン 第14位 ショーシャンクの空に 第15位 トップガン 第16位 砂の器 第17位 ローマの休日 第18位 シザーハンズ 第19位 パルプ・フィクション 第20位 ターミネーター2 (引用: 午前十時の映画祭/お知らせ ) この結果を踏まえ、上映作品を事務局が選定。そして『2001年宇宙の旅』(4回目)、『時計じかけのオレンジ』(2回目)の上映が決定いたしました!!この2作品は入れ替え制で、『2001年…』はグループAの劇場で2026年1月30日(金)~2月12日(木)、グループBの劇場で2026年2月13日(金)~2月26日(木)、『時計…』はその逆となっています。  『2001年宇宙の旅』は初の4K上映です(IMAXは特別上映だったので例外)。今までは2KでしたがそのDCPは画質や音質などあまり状態が良いとは言いがたく(かなり初期のDCP)、今回も2Kならスルーするつもりでした。ところが今回は4K。ソースはおそらくIMAXと同じ8Kスキャンデータだと思われます。それをビスタサイズに加工し、上下レターボックスで下の黒味に字幕を表示させるのだと思います(違っていたらすいません)。つまりスクリーンサイズが大きければ大きいほど視聴条件が良いということになりますので、上映劇場を選べる首都圏や関西圏の方は上映スクリーンをご確認の上、視聴劇場を決定することをおすすめいたします。なお上映時間はインターミッション(休憩)入りの150分。薄暗い中で流れるリゲティの『アトモスフェール』もお楽しみいただけます。これは期待大ですね。  一方の『時計じかけのオレンジ』は2Kですので前回(2019年)と同じDCPです。人気作品のため休日の回は満員が予想されますの...

【関連記事】『2001年宇宙の旅』1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。その先見性に驚く

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スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF  「2025年、年初に何を見る?」思った時に思いついたのが、『2001年宇宙の旅』だった。  1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。60年近い歳月がたった今でも「名作」と呼び名が高い作品だ。正直に告白するが、私は約60年の人生で既に2回、この作品を見ようとして挫折している。  しかし2025年を迎えた時、『2001年宇宙の旅』を見たいという、強烈な思いにとらわれた。断片的な記憶が私の脳裏に蘇り、全容を知らずにいられなくなった。そもそも私の大好きな『スパルタカス』を撮ったスタンリー・キューブリックの作品。今回はイケるんじゃないかという予感を抱き、私は夫と共にこの作品を見た。そしてやっと私はこの作品に痺れ、思った。「映画史に残る名作だよ!!」と。 〈以下略〉 (引用: 婦人公論.jp「映画評論 さかもと未明のシネマニア」/2025年2月11日 )  さかもと未明氏による『2001年宇宙の旅』の感想文です。あくまで「感想」ですね。この方1965年生まれということなんですが、「子どもの頃から大の映画好き」という割には内容が浅く、薄いな、という印象。アーティストを名乗る(自称する)ならこの作品の摂取は常識だと思っていたのですが、そういう意味でも残念なテキスト。一般的な中高生ぐらいの感想なら微笑ましいと思えるんですけどね。  終盤、木星の引力圏に引き込まれて落下していくデヴィッド船長が見るイメージは、死の前に見る走馬灯だろうか?   解釈は人それぞれでいいんですが、それはストーリーを正しく理解していることが前提です。上記引用にようにそれがおぼつかないと、解釈も意味不明なものになってしまいます。『2001年…』で語られる誤解の多くは「ストーリーを正しく理解していないこと」に起因しています。さすがにキューブリックもそれはマズいと思ったのか、折に触れて「最低限のプロット説明」と前置きをしつつ、 ストーリーの説明 をしています。  そのストーリーが示唆する意味や意義、哲学や思想については各自が自由に考えれば良いことだ、とキューブリックは語っています。それを「ストーリーは自由に解釈して良い」と曲解している人のなんと多いこと。残念ながらこのさかもと未明氏もその中の一人ということになってしまっていますね。  

【関連記事】手塚治虫『惑星ソラリス』『2001年宇宙の旅』を激賞する

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『惑星ソラリス』(1972)と『2001年宇宙の旅』(1968) 配給会社の思惑で『2001年…』とは何も関係がないにも関わらず、勝手に『2300年未来への旅』(1976)という酷い邦題にされた『Logan's Run(ローガンの脱出)』 『2001年宇宙の旅』の美術監督をオファーされた漫画の神様、手塚治虫 SF映画の魅力  今年はSF映画の年だなんていうんで、ずいぶん期待していたのに、上半期はロクなのがこない。  ただひとつ、これは、『Apache』を買う金があったらみにいってちょうだいよ。いや、 間違い。『Apache』を買って映画へいこう。ソ連製SF映画「惑星ソラリス」だ!  これはもう、NHKのニュースセンター9時でも紹介したくらいだから、みたがっている人が 多いだろう。残念なことに特殊な配給方法なので、東京、大阪など大都市以外の地方館では上映しないようだ。この映画の、なんてったってみどころは、あの主役のナタリヤ・ボンダルチュク。 このコの演技がまず、アカデミー賞もの。  このコの役は、ハリーという、死んじまった若い人妻の役。この人妻そっくりに、得体の知れ ないものが化けて、スーッと現れるのだ。そして主人公の男に惚れちまって寝ようってわけなんだが、亡き妻そのままの姿に、男は気味悪がって逃げの一手。  まといつこうとする、にせハリーの執念がすさまじい。金属のドアを手でブチやぶって、血だらけになって出てくるのだ。ついに彼女は液体酸素を飲んじまって、そり返ってのたうちまわって、凍ってしまう。  いやなんとも、こんなものすごい女優の演技は、めったにお目にかかれないよ。  この「惑星ソラリス」、どうも、アメリカSF映画「2001年宇宙の旅」をひどく意識してつくったみたい。そういうわけで、いよいよ来春再公開がきまった「2001年―」 には、みていないヤング諸君も、もうゼツ大の期待をもっていてほしい。  さっきぼくが、今年はSF映画の年なのにロクなのがこないといったのは、実は、「2001年―」が今年の夏に封切られるハズになっていたのに、都合で来年にまわされたから、いよいよヤケクソ気味なのだ。というのは、この春に、題名のまぎらわしい「2300年未来への旅」 なんていうのが封切られてしまったせいだという説がある。「2001年―」に比べれば「2300年―」は、やはり、格...

【関連記事】ルック誌1948年5月号に掲載された「カメラマン スタンリー・キューブリック」の紹介記事

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ルック誌1948年5月号に掲載 19歳にしてベテランカメラマンとなったスタンリー・キューブリックは、若さを熱意で補う  コロンビア大学の著名な教授陣や役員たちは、押し付けられることに慣れていなかった。では、この10代の下っ端の若者が彼らに何をすべきかを指示されるとはどういうことなのか?  経験豊富なカメラマンなら誰でもそうであるように、スタンリー・キューブリックは自分が何を望んでいるのかを正確に知っていた。要人たちのいらだたしいつぶやきも、この物静かで茶色い目をした若者を動揺させることはずっと前からできなかったのだ。2週間、スタンリーは大学のキャンパスで仕事に精を出し、25ページから33ページにかけてドン・ウォートンの記事に掲載されているコロンビアの素晴らしい写真記事を撮影した。  19歳のスタンリーは、ルック社の写真スタッフとして2年の「ベテラン」である。そして、1946年にブロンクスの高校を卒業する前から、彼は実直に撮影した写真をルック社に売っていた。  スタンリーがスタッフに加わると、同僚の写真家たちは、彼が仕事に集中していることにすぐに気づいた。友好的な協力の精神で、彼らは「スタンリーを育てる会」を結成し、スタンリーに鍵、メガネ、オーバーシューズ、その他の雑多な小物を忘れないように注意するよう呼びかけた。  この緩やかに組織された顧問団の微妙な影響により、この若者の服装の好みも明らかに変化した。かつては10代のトレードマークであるサドルシューズ、ラウンジジャケット、スポーツシャツを好んで着ていたスタンリーは、今ではグレンチェックのビジネススーツと白いシャツを好んでいる。  しかし、写真への熱意は変わらない。余暇にスタンリーは映画撮影法を試し、ドキュメンタリー映画を制作できる日を夢見ている。  この若者はこれからも鍵を忘れるかもしれないが、写真に関しては、スタンリーは成長するのに助けを必要としないのだ。  この頃からキューブリックはキューブリック、ですね。天才と言われる人は誰しもそうだと思いますが、キューブリックも集中力と観察力がずば抜けていました。その反面、鍵を忘れるなど簡単な行動でポカをしてしまう、というのも天才肌の人でよく聞くエピソードです。  服装についてはキューブリックは無頓着だったので、周りの大人が言うことを素直に訊いていたのでしょう。天才肌だが素...

【ブログ記事】11人の映画監督がスタンリー・キューブリックを語る

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「キューブリック作品1本は、他の誰かの映画の10本に匹敵します。キューブリック作品を観るのは山の頂上を見上げるようなものです。見上げながら『どうしたらあんなに高い所に登れるのだろう』と思うのです」〜マーティン・スコセッシ 「この人には沢山傑作があるけど、この作品(『バリー・リンドン』)はローソクの明かりで感度の良いフィルムと特別なレンズで撮影したらしいんだ。それが素晴らしい、とても綺麗な画面でね。成功しているからね、その試みが」〜黒澤明(引用:文藝春秋編『夢は天才である』) 「スタンリー・キューブリックは私の大好きな映画監督の一人です。彼は私のキャリアの初期にとても名誉なことをしてくれて本当に励みになりました。私は『エレファント・マン』の制作中、イギリスのリー・インターナショナル・スタジオの廊下に立っていました。『エレファント・マン』のプロデューサーの一人、ジョナサン・サンガーがジョージ・ルーカスと一緒に仕事をしていた何人かの男たちを連れてきて、「彼らが君に話があるそうだ」と言いました。私は「わかりました」と言いました。彼らは「昨日私たちはエルストリー・スタジオにいて、キューブリックに会いました。彼と話していると、彼は『今夜私の家に来て、私の好きな映画を観ないか?』と言いました。私たちは「それはいいね」と言いました。私たちは上階に行き、キューブリックは『イレイザーヘッド』を見せてくれました」その瞬間、私は安堵し、幸せになることができたのです」〜デビッド・リンチ 「『2001年宇宙の旅』のカットを見れば、この大きな飛躍がわかります。それを実現するには実に膨大な自信が必要です。自分の作品でそのようなことをやりたいのか? はい。でも、私にはそんな自信はないと思います。だからこそ、スタンリー・キューブリックはただ一人しかいないのです。彼は真似できない存在だと私は信じています。でも、インスピレーションを受けることはできます。その自信を持てるよう、インスピレーションを受けることはできるのです」〜クリストファー・ノーラン 「彼は偉大な監督だが、まだ偉大な映画を作っていない。私が彼に見るのは、彼のすぐ前の世代の偉大な監督、つまり(ニコラス・)レイや(ロバート・)アルドリッチなどが持っていない才能だ。おそらくそれは彼の気質が私に近いからだろう」〜オーソン・ウェルズ 「スタンリー・キュ...

【ブログ記事】女優の上白石萌歌さん、『シャイニング』を語る

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マネージャーから「あまり顔を崩すな」と言われていたそうです  女優の上白石萌歌さんが2025年1月10日オンエアのフジテレビの番組『ぽかぽか』に出演し、『シャイニング』について語り、ジャック・ニコルソンの「例の顔」のモノマネまでしていたのでご紹介。  どうやらお気に召したそうで、鑑賞後いろいろ調べたそうです。「初めての鑑賞がスクリーン(劇場)ですごい自慢できる」とはご本人の弁ですが、確かに配信や円盤でいつでも鑑賞できるこのご時世に、初めての鑑賞が劇場というのはなかなかレアですね。その「劇場体験」があってこそのお気に入りなのかもしれません。1980年に日本で初公開された時は短縮された国際版ですが、この時(午前十時の映画祭11)上白石さんが鑑賞したのは長尺の北米版、そういう意味でもラッキーでしたね。  その上白石さんの MVは『シャイニング』のパロディ でした。上記番組は TVerで1月17日(金)11:49まで視聴 できます。興味のある方はお早めに。

【ブログ記事】手塚治虫、キューブリックを語る

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 『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』はもっと『2001年』が向こう(アメリカ)で受けていたら、ぼくはキューブリックがつくった映画じゃないかって気がする。ぼくは『スター・ウォーズ』はともかく『未知との遭遇』的なものはキューブリックが狙っていたのではないかという気がする  つまりキューブリックもある意味では一つのカリスマというか、哲学的な思考を持っているでしょう。そういうものをずっとつきつめていくと宇宙心理みたいなものに走っていく。ただキューブリックの映画が受けなかったのは(で)、僕は(スピルバーグが)それを引き継いでかたきをとったという、そんな気がする  ただ『スター・ウォーズ』にしても『未知との遭遇』にしてもぼくはクラシックになる恐れがあると思う。『2001年』はクラシックにならない気がする。何か新しいとか古いを超越しているような・・・キューブリックのものは何を見てもそんな感じがする。『時計じかけのオレンジ』を見てもそうだしね  つまりルーカスもスピルバーグも完成されすぎているんですね〈中略〉ところがキューブリックは未知数なんですね。おそらくキューブリックは最後まで未知数の男で、受けるのか受けないのか、本当に名人なのか、素人なのかわからないという感じで、それが、ぼくはやはり未知の面白さみたいな感じだと思う (引用:季刊映画宝庫 SF少年の夢)  手塚治虫はキューブリックのファンで、自作の漫画やアニメにもその影響はそこかしこに感じられます。また本人の弁として「キューブリックにどうしても会いたくて、ニューヨークに何回か行ったんだけれど、いつでもいなかったですね。いなかったのは当然で、撮影であちらこちら飛び回っていたのでしょうね(手塚はキューブリックが旅行嫌いでイギリスに定住したことを知らない)」と語っています。一部では逆にキューブリックが手塚治虫のファンだった、という言説が流されていますが(その元凶は事もあろうか手塚眞氏)、そういった事実はいっさい確認されていません。キューブリックの興味は常に映画にあり、アニメはその対象外でした。では なぜ『鉄腕アトム』を観ていたのか? ということですが、キューブリックは自宅マンションで子供が観ていたのをたまたま見かけて「これは・・・」と思ってNBCに連絡先を聞いたのだと思います。常にアンテナを張っていたキューブリックのことですから...

【スペシャルレポート】映画パンフのお店「リュミエール鎌倉」を訪問してきました

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  鎌倉の小町通りの先、鶴岡八幡宮そばの雪ノ下に「リュミエール鎌倉」という雑貨屋兼映画パンフ(アート)のお店があります。私は以前からこの店の存在は知っていましたが、今回思い切ってアポなしで訪問してみました。  映画パンフはパンフは状態良の物が多いけどレア物は少なめ。キューブリック作品では『2001年宇宙の旅』(リバイバル版)、「時計じかけのオレンジ』(リバイバル版)、『シャイニング』、『フルメタル・ジャケット』、『ロリータ』(1994年再公開版)などが売られていました。値段はおおむね相場です。メジャー作やアニメ作品が多く、商品はすべてビニール袋に入れられ、陳列はきれいで探しやすいです。神保町のマニア度やカオスに気後れするライト層や初心者向きでしょう。デートで思い出の映画についてあれこれ話すのも楽しいかも。鶴岡八幡宮の参拝のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。  突然の訪問に店舗(店内はNG)撮影をOKしてくださいましてありがとうございました。公式インスタグラムは こちら 。

【考察・検証】「ロリータ・ファッション」の語源はキューブリックの『ロリータ』のポスターであるという嶽本野ばら氏の説を完全否定する

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 そもそもヒラヒラ服が何故、ロリータと呼ばれるようになったのか?JaneMarpleを含むDCブランドが隆盛を極めた八〇年代から九〇年代、日本の服飾界には海外とは異なる独自の潮流が難れた。過剰な少女趣味。表現する用語が見当たらなかったので、誰かが深い考えもなく“少女らしさ”というニュアンスをそれに置き換えてみた。イメージはナボコフの「ロリータ」ではなくキューブリックの映画「ロリータ」でもなく、その映画のポスター。あの赤いハート型のサングラスをして赤いキャンディを舐めてる女のコの絵はカッコ可愛くてお洒落じゃないですか。 ──嶽本野ばら「ロリータ・ファッション」(2024年、国書刊行会) (引用: Fashion Snap/2024年7月2日 )  嶽本野ばら氏は「少女趣味でヒラヒラしたファッションを「ロリータ・ファッション」と呼ぶようになったのはキューブリックの『ロリータ』のポスターである」としていますが、これは完全に間違っています。なぜなら1994年に再上映されるまで、ファンの間でさえキューブリックの『ロリータ』は存在感が薄かったからです。確かに1990年代にはキューブリック版『ロリータ』のポスターやポストカードがオシャレ系雑貨店で売られていましたが、それはロリータブームの後追いで便乗して売られていたにすぎません。そんな状況下であるのに、『ロリータ』がロリータ・ファッションの語源になるはずがありません。それにファッションアイコンとしての「ロリータ」という言葉は1987年にはすでに存在していた(『流行通信』1987年9月号)のです。時系列が全く合いません。 『流行通信』1987年9月号  では「ロリータ・ファッション」の「ロリータ」という言葉はどこから来たのか?私はファッションの専門家ではありませんが、心当たりはいくつかあります。まず、この国では「ロリータ」という言葉よりも先に「ロリコン」という言葉が流行ったという事実があります。1979年公開の宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』には「妬かない妬かない、ロリコン伯爵」という台詞が出てきますし、ロリコン漫画の祖と言われる吾妻ひでおの『ななこSOS』は1980年、1983年の手塚治虫のインタビューでは「僕は(ロリコンブームを)ただ利用してるだけ」(引用: 手塚治虫OFFIOFFICIAL )という発言まであ...

【関連商品】JACQUES MARIE MAGE(ジャックマリーマージュ)より『2001年宇宙の旅』にインスパイアされたサングラス『HEYWOOD』登場

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 映画『2001年宇宙の旅』(1968年)にインスパイアしたスタンリー・キューブリック・コラボレーションモデル。  『2001年宇宙の旅』に登場するヘイウッド・フロイド博士(ウィリアム・シルヴェスター)のクラシックなスタイルを再現した、洗練されたデザインのサングラスフレーム。  1960年代の美学を感じさせる彫刻的なフォルムが特徴です。アローヘッド型のフロントピンやヘアラインのディテールが施された露出したワイヤーコアは、クラシックでありながら現代的な印象を与えます。スタンリー・キューブリックのサインとコレクションの象徴が刻まれたインナーテンプルも特別感を演出。  時代を超えるデザインと映画史へのオマージュが融合した一本です。  植物由来のアセテートを採用し、クリアからブラックへの美しいグラデーションを持つハンドメイドフレーム。  世界限定400本のみの特別なコレクションです。 (引用: decoda/G.N.Gagas ONLINE SHOP )  なかなかクラシカルでおしゃれなサングラスです。フレームにキューブリックのサインと『2001年宇宙の旅』のロゴが刻印されています。パッケージもしっかりオマージュされてますね。お値段は156,200円(税込)!!それでも売り切れているみたいですから、すごいというかなんというか・・・。取り扱っているECサイトは他にもいくつかありましたので、欲しい方はお早めに。

【パロディ】『時計じかけのオレンジ』のパロディマンガ『A Crockwork Lemon』を訳してみました

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  この『A Crockwork Lemon』は『マッド・マガジン』の1973年6月号に掲載された『時計じかけのオレンジ』のパロディ漫画で、ファンの間ではよく知られた存在でした。今回、Marie Pascalさんからその切り抜きをご提供いただきましたので、セリフを全部訳してみたのですが・・・なんじゃこりゃ!?というのが正直な感想です(汗。途中まで映画のストーリー通りに話は進むのですが、まさかのゲ●オチとは!(笑。それにあの映画の扱いが酷い・・・(苦笑。最後のコマにキューブリックが密かに登場していますが、そのキューブリックがあの映画の主人公を次作の主役に抜擢するとは、この漫画の作者は思いもしなかったでしょうね。ところでタイトルの「クロック」と「レモン」の意味ですが、「Clock(時計)」ではなく「Crock(役立たず)」になっていて、「レモン=酸っぱい」ということから「役ただずの酸っぱいもの=ゲ●」という意味なんでしょうか!?なんとなくそんな気もします。  それはともかく、『時計…』公開当時の「世間の空気感」みたいなものは伝わると思いますので、セリフが小さいためファイルが大きくなってしまい、若干読みにくいとは思いますが、ぜひお楽しみください! 資料提供:Marie Pascalさま 翻訳協力:カウボーイさま

【スペシャルレポート】キューブリックの妻に誘われて。今秋は監督の世界観を再現した「JW Anderson」のポップアップへ

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店内画像掲載許可済み 「JW Anderson(JW アンダーソン)」のポップアップストアが今秋、GINZA SIXと伊勢丹新宿店にまたがり、2店舗オープンする。映画監督スタンリー・キューブリックの遺作映画や、妻の絵画に着想した2024年秋冬メンズコレクションと2024年プレフォールウィメンズコレクションをそろえた、独創的な空間に注目! 〈中略〉 ポップアップは92歳の妻クリスティアーヌの絵画が要に  そうしたコレクションを引っ提げた今秋のポップアップの要になっているのも、クリスティアーヌの絵画だ。クリスティアーヌは、現在92歳。ダンサー兼女優としてキャリアをスタートし、出演した映画『Paths of Glory(突撃)』で後に夫となるキューブリックに出会い、俳優から退く。1960年代初期にイギリスに移住したロンドンで画家へと転身し、ニューヨーク、ローマ、ロンドンでエキシビションを開催するなど、国際的な成功を収めてきた。  GINZA SIXでは、クリスティアーヌが手がけた絵画「View from camper towards Aeolian Island」(2006年)のプリントや、24年プレフォールウィメンズと24年秋冬メンズのコレクションのキャンペーンビジュアルを入り口に大きく掲げ、ショー会場にインスパイアされた黒いカーペットと壁で内装にキューブリックの世界感を表現。  10月9日からスタートする伊勢丹新宿店では、GINZA SIX同様に24年プレフォールウィメンズと24年秋冬メンズのショーを想起させる設(しつら)えは継続しつつ、クリスティアーヌ・キューブリックの絵画「View from camper towards Aeolian Island」(2006年)に加え、「Jack and the Computer」(1997年)を元にしたグラフィックシートが棚の背板に配され、よりその世界観を体感できる内装に。 〈以下略〉 (引用: マリークレール/2024年9月11日 )  というわけで、さっそくGINZASIXまで行ってきました。3階の吹き抜けの一角でこじんまりとオープンしていました。記事ではクリスティアーヌが前面に出ていますが、ショップではむしろ長女カタリーナがキューブリックの誕生日に描いて贈った愛猫ポリーの絵の方がプッシュされていました。決して上手くはな...

【ブログ記事】モデルグラフィックス誌2024年10月号『2001年宇宙の旅:模型で巡るオデッセイ』で巻頭記事を書かせていただきました

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モデルグラフィックス 2024年10月号(Amazon)   モデルグラフィックス誌2024年10月号『2001年宇宙の旅:模型で巡るオデッセイ』で巻頭記事を書かせていただきましたので、ご紹介いたします。  モデルグラフィックスはガンプラ(ガンダムのプラモデル・・・って言うまでもないか。汗)を中心にしたプラモデル雑誌です。その巻頭特集に昨今メビウス社によるプラモデル化で盛り上がっている『2001年宇宙の旅』を採り上げたい、つきましては原稿をお願いしたいとのご依頼でした。記事内容は基本おまかせだったのですが、『2001年』の名前は知ってはいるけど観たことはない、だけどプロップや特撮には興味があるモデラー向きにして欲しいとのことでした。文字数は約3400字でしたので、当初は「そんなに書けるかな」と不安だったのですが、いざ書き始めてみると「あれも書きたい、これも書きたい」となってしまい、後で大幅に削ることになってしまいました。  本記事を執筆するに当たり、以下の点に留意しました。 制作経緯を時系列でまとめる コンセプトやテーマは軽く触れる程度(字数制限のため) キューブリックが手塚治虫に美術監督をオファーした件に触れる プロップ制作や特撮裏話をできる限り載せる 加わったスタッフもできる限り紹介する 『2001年』の特撮=ダグラス・トランブルという誤解を解く  最後は特にこだわった点で、本誌掲載記事にある通りキューブリックは4人のメインスタッフの貢献度をわざわざ表明しています。これはトランブルがあまりにも突出しすぎていると考えたためで、それがトラブルになっていたからです。有名なのはオスカーの視覚効果賞をキューブリックが独占したことに対するトランブルの批判です。ですが、キューブリックの立場からするとトランブルは優秀なスタッフの「一員」だったのは確かではあるが、それと同等やそれ以上に貢献したスタッフはいるし、彼らはそれを声高に主張していない(控えめな性格だった)ことに対する配慮もあったかと思います。とにかくトランブルは「声が大きすぎる」んですよね。現在でも『2001年』の特撮=ダグラス・トランブルという誤解は世間一般に流布したままだし、『2001年』初心者も読むモデル雑誌でそれは良くないと思い、微力ながら私がそれを矯正(方向性の修正)をできればと思って書かせていただきま...

【関連動画】公式が制作した『シャイニング』のドキュメンタリー『Shine On - The Forgotten Shining Location』がキューブリックの誕生日に公開される

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  スタンリー・キューブリック公式が制作した『シャイニング』のドキュメンタリー『Shine On - The Forgotten Shining Location』が、キューブリックの誕生日7月26日に公開されました。内容はエルスツリー・スタジオに現存するセットの痕跡を辿る内容で、登場人物はキューブリックの長女カタリーナ、義弟でプロデューサーのヤン・ハーラン、美術監督のレスリー・トムキンスです。  あれから40年以上の月日が流れた現在、広大だったエルスツリー・スタジオも敷地を切り売りしなければならないほど経営が思わしくないらしく、『シャイニング』のセットとして使った部屋はたまたま残っていただけに過ぎないようです。しかもキッチン、食糧倉庫、ボイラー室のみという寂しいもの。すぐそばにあった『2001年宇宙の旅』を制作したボアハムウッドMGMスタジオも今は跡形もなく、時代の趨勢を感じずにはいられません。  ちなみにジャック・ニコルソンがタイプラターを打っていたテーブルはキューブリック邸に、237号室のバスルームのバスタブはヤン・ハーラン家にあるそうです。映像にはありませんが、ほかにもカーペットや衣装の一部はアシスタント兼運転手だったエミリオ・ダレッサンドロが貰い受けていたり、タイプライターはキューブリックの三女ヴィヴィアンが使っていたりと、『シャイニング』のために購入されたプロップは当時のスタッフが分けあって持って帰っちゃったみたいですね。  それもこれもキューブリックは手に入るプロップは全て当時購入できた既製品を使うよう指示したからなのですが、それがオーバールック・ホテルが「本物」に見えた要因(セットを知って驚いたものです)でもあるし、キューブリックらしいこだわりのなせる技だな、とつくずく思います。そのキューブリック曰く「欲しいものは金を払っても手に入るかどうかわからないが、金を払わないと絶対に手に入らない」・・・ごもっとも。

【リリース情報】『2001年宇宙の旅』4K ULTRA HD&ブルーレイセット スチールブック仕様 2024年9月25日発売予定。ただいま予約受付中。

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(初回限定生産)2001年宇宙の旅 The Film Vault collection(4K ULTRA HD&ブルーレイセット)スチールブック仕様(3枚組/豪華封入特典付)[4K ULTRA HD + Blu-ray](Amazon) 【内容紹介】 スタンリック(注:原文ママ)・キューブリック没後25周年―。 代表作『2001年宇宙の旅』が新デザイン・キーアートで、待望の4K ULTRA HDスチールブック化! ・イギリス発のアートスタジオ「VICE PRESS」のマット・ファーガソン&フローリーによる新デザイン・キーアートにより、『2001年宇宙の旅 』がよみがえる! ・1999年3月7日、70歳でこの世を去ったキューブリックの没後25周年を追悼し、代表作『2001年宇宙の旅』が4K ULTRA HDスチールブックとして初リリース。 ・日本語吹替版を収録した4K ULTRA HD&HDデジタル・リマスター ブルーレイに、特典ディスクを加えた豪華3枚組。 ※ディスクは「2001年宇宙の旅 日本語吹替音声追加収録版〈4K ULTRA HD&HDデジタル・リマスター ブルーレイセット〉(3枚組)と同じです。 ・新デザイン・キーアートによるスチールブックに加え、特典として、アートカード(7枚組/両面仕様)、ポスター(2枚/片面&両面)をオリジナル封筒に収め封入。 【ストーリー】 人間 vs. コンピュータの戦いを、陶酔の映像と音楽で描き出し、アカデミー賞(R)を受賞した『2001年宇宙の旅』。キューブリック(アーサー・C・クラークと脚本を共同執筆)は、有史前の類人猿から植民地化が進む宇宙へ、数千年もの時間を超越(映画史上最高のジャンプ・カット・シーンのひとつ)する離れ業をやってのけた。人類がまだ見ぬ宇宙の領域に足を踏み入れた宇宙飛行士ボーマン(キア・デュリア)は、不滅の存在へと昇華していくのだろうか。「HAL、進入口を開けろ! 」という悲痛な願いと共に、無限の可能性に満ちた未知への旅を始めよう。 【キャスト】 デイビッド・ボウマン:キア・デュリア、フランク・プール:ゲイリー・ロックウッド 【スタッフ】 監督:スタンリー・キューブリック、製作:スタンリー・キューブリック 【特典】 “2001年”という神話 キューブリックが残した遺物...

【関連動画】スピルバーグが1999年の71回アカデミー賞で述べたキューブリックへの賛辞

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He wanted to take us places we could never have imagined, and so he imagined them for us.He is Stanley Kubrick. He died before he could witness the century he had already made famous with 2001: A Space Odyssey.Stanley wanted us to see his movies absolutely as he envisioned them. He never gave an inch on that.He dared us to have the courage of his convictions, and when we take that dare we’re transported directly to his world and we’re inside his vision. And, in the whole history of movies there’s been nothing like that vision… ever. It was a vision of hope and wonder, of grace and of mystery.It was a gift to us, and now it’s a legacy. We will be challenged and nourished by that as long as we keep the courage to take his dare, and I hope that will be long after we’ve said our thanks and our goodbyes.  彼は想像もできなかった場所に私たちを連れて行きたかったので、私たちのためにそれらを創り上げました。彼の名はスタンリー・キューブリックです。  彼は『2001年宇宙の旅』ですでに有名になった世紀を目撃する前に亡くなりました。スタンリーは私たちに自身の映画を自分が思い描いたとおりに観てもらいたいと考えていました。彼はそれについては一歩も譲りませんでした。彼は私たちに自分の信念を...

【ブログ記事】シェリー・デュバル逝去の報に接して感じたこと

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おそらく生涯最後の出演になる、インディーズホラー映画『フォレストヒルズ』(公開未定)に出演したシェリー・デュバル  『シャイニング』でジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)の妻、ウェンディ・トランスを演じたシェリー・デュバルさんが2024年7月11日、糖尿病の合併症で亡くなりました。享年75歳でした。  シェリーが精神疾患と糖尿病を患っていたのは当ブログでも何度かご紹介した通りですが、当人が精神疾患の治療を拒否していたのは事実のようで、そうであれば糖尿病の治療も拒否していた可能性があります(投薬程度の治療はしていたかもしれません)。晩年は歩行も困難になり、車で移動していたという記事も目にしていました。ならば、糖尿病の合併症で死去いうのはある程度予想がつく結末であり、本人が望んだ穏やかな生活での結果だとしたら、遅かれ早かれ死は彼女のすぐ近くにあったのだろうと思います。  重度の糖尿病は精神の不調をきたすことが知られています。もしシェリーの精神疾患の原因が糖尿病によるものであれば、かなり筋の通った推察になりますが、これはあくまでも「推察」の域を出ません。過去には「『シャイニング』におけるキューブリックによるイジメのせい」などとデマが流布されたこともありますが、それは様々な事実や本人の証言から完全に否定されています。  実際のシェリーは『シャイニング』で演じたウェンディのような「ひ弱で怖がりでオドオドしたいじめられやすい女性」とは正反対で、自立した自我を持った強い女性でした。それは女優という与えられる仕事だけではなく、自らプロデュース業に乗り出し成功を収めたことからもわかります。ですが突然2002年にそれらを全て放棄し、テキサスに引きこもってしまいました。その原因はノースリッジ地震(1994年)と兄弟の重病(ガン)と説明しましたが、これがそのまま精神疾患の原因とは考えにくいです。なぜなら時期が合わないからです。  パートナーのダン・ギルロイ氏によれば、精神疾患は2000年代のある日突然に始まったそうで、その日以降、シェリーは目に見えない敵に怯える、指をパチパチと鳴らす、突然視界から消えるなど挙動不審を繰り返すようになったといいます。個人的には、その精神疾患による突然の精神の不調により、突発的に自死を選んでしまうことを危惧していて、それによってキューブリックに対して謂れ...

【関連記事】焼失した『博士の異常な愛情』のネガフィルムをスチルカメラで復元・修復したと言う話はマユツバだという記事

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Xで流れてきた記事の画像。出どころは不明ですが、内容から確度は高いのでは?という気がします。 爆弾話はでっち上げ?  1994年後半、映画『博士の異常な愛情』が 30周年を記念して再公開されたとき、メディアは監督のスタンリー キューブリック(元ルック誌のカメラマン)がニコンのカメラを使用して、白黒フィルムをフレームごとに個人的に修復したと伝えました。  ニューヨーク・タイムズ紙と他の2つのニューヨークの日刊紙は、ニコンのこの修復物語を疑問視することなく報道しました。ただ 1 つ問題があります。90分の映画をスチルカメラで新品同様の状態に修復することは理論的には可能ですが、大量のフィルムとさらに多くの時間が必要になります。映画の10秒をコピーするだけで 250枚の写真撮影が必要になります。134,000フレームには536回の大量取り込みが必要です。  しかし、それは本当でしょうか。『博士の異常な愛情』の物語はニコンにとって未知の情報であり、同社には相談されていませんでした。  また、修復された『博士の異常な愛情』をリリースしたコロンビア・ピクチャー・レパートリーは、修復についての詳細を明かしませんでした。修復プロジェクトに近い、イギリスのハートフォードシャー州セント・オールバンズ(キューブリックの拠点)の情報筋によると、ニコンの話は完全に作り話だというのです。  「マーティン・スコセッシがニコンの話の拡散に何らかの関与があったのではないかと考えています。ある時点で、私たちは『博士の異常な愛情』の修復にスチールカメラを使うことを考えましたが、どの程度真剣に検討したかはわかりません」と匿名を条件に情報筋は語った。「スコセッシはこのことを聞いて、インタビューで言及したのだと思います」  オリジナルの『博士の異常な愛情』のネガは火事で失われてしまいました。しかし状態の良いインターポジは見つかりました。標準的な映画用複製機材を使用して再撮影され、新しいネガが作られ、そこから新しい劇場公開用プリントが作られました。  キューブリックは確かにじっくりと細心の注意を要する修復プロジェクトに個人的に関わっていましたが、「長編映画をスチルカメラで修復するのは悪夢です」と情報筋は語っています。 ーエリック・ルドルフ  『博士の異常な愛情』のオリジナルネガが紛失(焼失)したために、状態の良い...

【関連記事】シェリー・デュバルはハリウッドから姿を消し、ずっとここにいます。

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キューブリックのドキュメンタリー『ライフ・イン・ピクチャーズ』(2001年)で元気にインタビューに応えるシェリー・デュバル。  『シャイニング』や『ナッシュビル』など時代を象徴する映画での役柄で知られる女優が、20年を経て女優業に復帰した。しかし、彼女に何が起こったのだろうか? 〈中略〉  20年以上もの間、デュバルさんのキャリアは停滞していた。 2002年の『マンナ・フロム・ヘヴン』が 最後の 映画出演で、その後、女優としてもプロデューサーとしても多彩で、大方の見方では成功したキャリアだったが、その理由は謎のまま引退した。最近彼女の名前を検索すると、最もよく出てくる質問は、「 シェリー・デュバルに何が起こったのか?」と「シェリー・デュバルはなぜ姿を消したのか?」だ。  この根強い好奇心は 驚くようなものではない。自発的であろうと強制的であろうと、人目につかなくなるという行為そのものが、「ハリウッドの隠遁者」という比喩の核心であり、『サンセット大通り』や『何がジェーンに起こったか』などの古典映画で悲劇的な効果を出すために使われ、興味をそそり続けるからだ。  シェリー・デュヴァルも興味をそそられている。  「私はスターで、主役もやっていました」と彼女は厳粛に首を振りながら言った。 彼女は町の広場に車を停めて、チキンサラダ、キッシュ、甘いアイスコーヒーのランチをテイクアウトし、最後にパーラメントを一口吸った。彼女は声をひそめた。「みんなはただの老化だと思っているけれど、そうじゃない。これは暴力なの」  「暴力」について説明するよう促されると、デュバル氏は質問で答えた。  「本当に親切な人たちが、突然、」彼女は指を鳴らしながら言った。「あなたに背を向けたら、どう感じるでしょう? 自分に起こらない限り、あなたはそんなことは信じないでしょう。それが本当だと信じられないから、あなたは傷つくのです。」  「みんな、いつも没落の話に興味があるんだ」と、デュバルさんの30年以上のパートナーで、車の乗り降りを手伝ったり、時には家に戻ってくるよう懇願したりしているギルロイさん(76歳)は言う。デュバルさんを取り巻く憶測や噂、そして彼女の精神状態だけでなく体型についても語る彼の声には、疲れた調子がにじみ出ていた。  「インターネットでは『今の彼女を見て』『今の彼女の姿は信じられないよ』とい...