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【登場人物】フレッチャー二等兵(Pvt. Fletcher)

 『恐怖と欲望』で一番印象の薄い兵士。最後の見せ場、コービー中尉と行動を共にし敵の将軍を襲撃するのだが、そこで見たものは・・・。演じたのは後にTVで活躍することになるスティーヴ・コイト。

【俳優】ケネス・ハープ(Kenneth Harp)

 『恐怖と欲望』でコービー中尉と敵の将軍を演じた。他の出演作は『大襲撃』(1956)、『ダニー・ケイの黒いキツネ』(1956)など。TVシリーズのヒッチコック劇場に法の執行吏役で出演している。上記はその時の写真。  1924年3月28日生誕、出身地不明。2009年3月29日死去、享年85歳。

【登場人物】コービー中尉(Lt. Corby)

 『恐怖と欲望』で敵の最前線に取り残された小隊を指揮する中尉。演じたのは無名の俳優ケネス・ハープ。敵の将軍も演じている。

【登場人物】将軍(The General)

 『恐怖と欲望』で小隊に襲撃される将軍。涎だらりのシーンを観て「ああ、アレと同じだ」と思った人は多いはず(笑。演じたのはその小隊を指揮していたコービー中尉と同じケネス・ハープ。

【俳優】ポール・マザースキー(Paul Mazursky)

  『恐怖と欲望』で発狂してしまうシドニー二等兵を演じた。ブルックリン大学時代に演劇を始め、卒業後俳優として舞台やテレビで活躍、やがて映画俳優となり『ボブ&キャロル&テッド&アリス 』(1969)で監督デビュー。『ハリーとトント』(1974)、『結婚しない女』(1978)、『グリニッジ・ビレッジの青春 』(1976)、『テンペスト』(1982)、『ビバリーヒルズ・バム 』(1986)などを監督している。近年は俳優としての出演が多い。  他の出演作は『暴力教室』(1955)、『スター誕生』(1976)、『男と恋と銀行泥棒』(1979)、『カンヌの恋人』(1979)、『メル・ブルックス/珍説世界史』(1981)、『お気に召すまま』(1992)、『カリートの道』(1993)、『めぐり逢い』(1994)、『ヘイ・ヘイ・ウィアー・ザ・モンキーズ 』(1997)、『アンツ』(1998)、『テリーの災難』(1999)、『カンフーパンダ2』(2011)など。  1930年4月25日アメリカ・ニューヨークのブルックリン出身。2014年6月30日死去、享年84歳。

【登場人物】シドニー二等兵(Pvt. Sidney)

 『恐怖と欲望』で、恐怖のあまり頭がイカれてしまう新米の二等兵。その精神の壊れ方のプロセスは短いカット割やアップの挿入などで表現され、後のキューブリック編集の片鱗が伺える。  演じているのは後に俳優・映画監督として成功するポール・マザースキー。本作の脚本を担当したハワード・O・サックラーの勧めでオーディションを受けたのだそう。まだ若いですね。

【登場人物】マック軍曹(Sgt. Mac)

 『恐怖と欲望』で強硬に敵将軍襲撃を主張する軍曹。最後は筏に乗って単身突撃するのだが・・・。  演じたのは後に『非情の罠』でマフィアのボス、ラパロを演じる事になるフランク・シルヴェラ。本作では唯一人プロと言える役者だった。

【登場人物】少女(The Girl)

 『恐怖と欲望』で、戦争の最前線なのにのんびりと川で魚を穫っていて、脱出を図る小隊に捕まってしまう地元(?)の女の子。逃げ出さないように木に縛り付けられた後、シドニーとの一連のやりとりはなかなか真に迫っていて、見所の少ない本作では一番おいしいシーンですね。セリフなしというアイデアも悪くないです。  演じたのは、後にB級映画中心の女優となるヴァージニア・リース。

【アーティスト】ロバート・マッコール(Robert T.McCall)

 『2001年宇宙の旅』のアートワークを担当したイラストレーター。ポスターになった宇宙ステーションからスペースシャトルが飛び出す絵はあまりにも有名で、その他にも月面で活動中のシーンや円心機に佇む宇宙飛行士など、数々のアートワークを『2001年…』に提供しています。当時NASA関係の仕事を多く手がけていた事から、NASAからキューブリックへ紹介があったのではないかと想像しています。NASAの正確な科学考証があったからでしょうか、数々のイラストは今見てもあまり古さを感じさせません。最近DVDやBDなどでパッケージにこのイラストを使わないバージョンが出回っていますが、とんでもないです。しかもスターチャイルドのネタバレパッケージなんて勘弁して欲しい・・・。他の参加作は『スター・トレック』(1979)、『ブラックホール』(1979)など。  1919年12月23日アメリカ・オハイオ州コロンバス出身、2010年2月26日死去、享年90歳。自身のサイトは こちら 。

【考察・検証】『時計じかけのオレンジ』と酷似した物語構造を持つ『アイズ ワイド シャット』

 『アイズ ワイド シャット』と『時計じかけのオレンジ』。かたや駄作、かたや傑作との評価が一般的なようですが本当にそうでしょうか。実は『アイズ…』と『時計…』は恐ろしいほどに物語構造が酷似しています。それを検証しながらいかに『アイズ…』が傑作であるかを証明したいと思います。 (1)オープニング・シークエンス  まず『アイズ…』ではビルとアリス、『時計…』ではアレックスと仲間たちが紹介されます。 ( 2)第1のイベント  続けて『アイズ…』ではクリスマスパーティーが、『時計…』では一連の暴力シーンが続きます。 (3)第1のイベントを受けての転換  『アイズ…』ではマリファナを吸いながら夫婦の間で口論が始まってしまいます。『時計…』ではアレックスが第九を邪魔された事に怒って仲間割れが始まってしまいます。 (4)上記によって主人公にトラブル発生  『アイズ…』では夜の街をビルが彷徨います。『時計…』ではアレックスが仲間に裏切られて警察に捕まってしまいます。 (5)物語のキーポイントになる第2イベントの発生  『アイズ…』では乱交パーティーに潜入し、正体がバレて命の危険が迫ります。『時計…』ではアレックスがルドビコ療法の被験者になり、無害な若者になります。 (6)上記の結果、前半の体験を追体験  『アイズ…』では(4)を、『時計…』では(2)を全く逆の立場で追体験します。 (7)自業自得な報いを受ける  その結果『アイズ…』ではジーグラーに真実を告げられ茫然自失、『時計…』では反政府活動家によって自殺へと追い込まれます。 (8)打ちひしがれて安全な場所に逃げ込む  『アイズ…』では妻の元へ、『時計…』では入院し内務大臣の保護下に入ります。 (9)最後に一言で終わる  『アイズ…』では「ファック」、『時計…』では「完全に治ったね」で物語終了。  いかがでしょうか、ここまで酷似しているのです。これは偶然と言っていい筈はありません。キューブリックは意図的に『アイズ…』を『時計…』の物語構造に似せて、この二つは同じ意図を持っているのだと暗に示しているのです。その意図とは「本質を暴く」という事でしょう。『時計…』でキューブリックは暴力の本質を暴きだしました。では『アイズ…』では何を暴きだそうとしたのでしょうか?  それは「夢」だと思います。夢の持つ意味、夢がもたらす影響、夢にすがる、...

【ロケーション】サン・ガブリエル山脈(San Gabriel Mountains)

 『恐怖と欲望』のロケ地。ロサンゼルス北部にある山脈。1951年夏、キューブリックとそのスタッフたちはこの山中の丸太小屋に寝泊まりしながら撮影をしたそう。実際キューブリックは何でもやったそうで「カメラマンであり、監督であり、編集者であり、編集助手であり、効果マンであり、何でも挙げたまえ、私は何でもやったんだから」と語っていて、運転手まで買って出たそうだ。もちろん西海岸ですから当時住んでいたニューヨークからの移動は飛行機でしょうね。  後に飛行機はおろか車の運転さえしなくなり、ロケも20マイル以内でやろうとする出不精になるキューブリックですが、若い頃はこんなに活動的でエネルギッシュだったのです。

【ロケーション】ハムリーズ(Hamleys)

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 ロンドンのリージェント・ストリートにある世界最大級のトイショップ。地下1階から6階まで売り場がある(7階はカフェ)。『アイズ ワイド シャット』のラストのおもちゃ屋でのシークエンスが撮影された ロケ地 。

【アーティスト】フィリップ・キャッスル(Philip Castle)

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 『時計…』と『フルメタル…』のアートワーク全般と、ロゴデザインを担当したイギリスのエアブラシ・アーティスト/イラストレーター。  ネット上にこの人の情報は極端に少なく、日本語で読める記事はほぼ皆無なので困っていました。ところが、貴重なインタビュー動画と記事を発見。非常に興味深い初期スケッチやボツイラスト、それに絵の参考資料に送られたアニマルマザーのヘルメットまで登場しています。キューブリックとの仕事でのやりとりやキューブリックへの想いなど、貴重な証言が満載です。  動画は Part1 から Part2 、 Part3 、 Part4 までありますが、特に1と2は必見です。また、記事に起こしたものは こちら にあります。  動画では「A CLOCKWORK ORANGE」の「A」をイラストの意匠に取り込むアイデアは初期のスケッチの段階から見られます。それに噂に聞いたマッド・マガジンの「時計じかけのレモン」も見る事ができました。また、タイトルロゴはイタリア語やスペイン語も担当していたんですね。  他には『マーズ・アタック!』や『60セカンズ』のポスター、デヴィット・ボウイの名盤『アラジン・セイン』のジャケットアート(鎖骨にある水滴のエアブラシ・ワークのみ)、ポール・マッカトニー&ウィングスのワールド・ツアーのポスターなども手がけたそうです。  1943年イギリス・ヨークシャー州ハッダーズフィールド出身。

【関連動画】ロビン・ウィリアムズによるストレンジラブ博士とリッパー将軍のモノマネ

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 ロビン・ウィリアムズがストレンジラブ博士やリッパー将軍のモノマネをしながら『博士の異常な愛情』について想いを語っている動画がありましたのでご紹介。  さすが芸達者で有名なロビンですね、良く似てます。最近聞きませんが何をしてるのかと思っていたら、心臓病を患って手術したそう。また元気な姿でその芸達者ぶりを発揮して笑わせて欲しいですね。

【パロディ】アメリカのケーブルTV番組『ロースト』に出演するチャーリー・シーンの予告CM

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The Comedy Central Roast of Charlie Sheen - "Dr. Strangesheen" :15(Vimeo)  アメリカのコメディ専門ケーブルTV局「コメディ・セントラル」の人気番組『ロースト』に出演する チャーリー・シーンの予告CM です。様々な犯罪行為やあぶなっかしい言動で、すっかりネタキャラ扱いになってしまったチャーリー・シーンを、芸能界の有人知人がジョークで痛めつけるというまさしく「火あぶり(ロースト)」な番組。チャーリーにとっては徒手空拳で出演する訳ですから、まさしくこのCMは的を(的はコメディ・セントラルのロゴですね)射てますね。しかも再現度も高いし。ただマニアックな事を言えば背景の上下にレター・ボックスが見えていたらニヤッとできたんですけどね(笑。

【考察・検証】『シャイニング』におけるテニスボールの意味の変遷が示す、キューブリックの「アドリブ指向」

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ダニーがテニスボールを持つカットされたラストシーン  『シャイニング』で霊の象徴的な存在のひとつとして登場したテニスボール。実は当初の脚本では「ジャックは仕事もせず遊んでいる」となっているだけでした。そこでニコルソンは「俺だったらこんなだだっ広いところにいたらこうするね」とテニスボールで遊び始めたのです。つまり当初は霊的存在象徴でも何でもなく、ニコルソンのアドリブによるヒマ潰しでしかなかったのです。  このように「撮影現場で「何か」が生まれる瞬間」を好むキューブリックは、これをストーリーのキーポイントに使う事を思いつきます。そして「誰もいない筈なのに転がってくるテニスボールが、ダニーを237号室に誘う」というシーンが作られます。また、カットされてしまいましたが、矢などが並べられたオブジェから幽霊がボールを投げ返すシーンも撮影されました。その極めつけが削除された病院シーンです。ここではテニスボールが決定的な役割を果たしています。つまりホテルの霊の象徴の一つであり、それをアルマンは知っていた、という非常に重要なシーンです。  しかしキューブリックはこのシーンを公開後すぐにカットしてしまいました。その結果、テニスボールはホテルで起こる霊的現象の一つ、という位置づけに落ち着く事となりました。  こういった経緯を振り返ってみて、そういえば以前、似たような事をキューブリックはしていなかったか?と思いませんか。そう『博士の異常な愛情』での「パイ投げシークエンス」です。キューブリックはこれも二週間もかけて撮影したにも関わらず、まるまる削除してしまいました。それは『シャイニング』で病院シーンをカットしたのと同じ動機、つまり「やりすぎ(説明しすぎ、くどい)と感じた」だと思います。  以上の事実から、キューブリックはアドリブを好む反面、現場のノリで少し暴走してしまうきらいがあったように思います。好きな事には熱中しやすい気質も影響しているのでしょう、冷静に判断ができるようになるには少し時間を置かないといけなかったようです。  もちろんそんな自分をよく知っていたキューブリックは、スニーク・プレビュー後にカットするのを常としていました。それは試写をすることによって自作を客観的に見やすくなり、どこを切ればいいか判断がしやすくなる効果を期待してでの事ではないでしょうか。小説でも絵画でも楽曲でも、自...

【上映情報】『恐怖と欲望』オーディトリウム渋谷は7月5日(金)で上映終了?

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 まだご覧になっていない方は急いだ方が良さそうです。全国では大阪、松山は終了、仙台、横浜、名古屋、京都、神戸は現在絶賛上映中で、札幌、高崎、広島、金沢、福岡、は近日公開になるようです。  キューブリックの遺志を尊重するなら観ない、とする判断もありかも知れませんが、個人的には一度公表した作品は取り消す事ができませんので、キューブリックには諦めてもらうしかないと思っています。そんな雑音は気にせずに、観たい方は是非観に行きましょう。キューブリック作品を映画館で堪能できる機会なんて滅多にありませんので。  それはキューブリック逝去後にキューブリック作品に触れた新しいファンも同じです。確かにキューブリックは「『2001年宇宙の旅』をテレビで観た者は観たとは言えない」という旨の発言をしています。でもこれは小さくて解像度の悪いブラウン管時代のTVの話です。映画館のスクリーンで観るより、大画面ワイドTVのBDで観る方がよっぽどディテールまで堪能できます。  そういう新しいファンも『恐怖…』を観て、おおいにキューブリック作品を堪能し、そして堂々と語ってください。語る資格は十二分にありますから。

【関連書籍】ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ(The Stanley Kubrick Archives)

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Thr Stanley Kubrick Archives. Stanley Kubick(Amazon) ※2005年に発売された初版。41.1×30cm、544ページ。ジェレミー・バーンスタインによる1966年のキューブリックのインタビュー(70分)CDと、『2001年…』の70mmフィルム(12フレーム分)が付属。 Stanley Kubrick Archives(Amazon) ※2008年9月、32.7×24.5cmにサイズが縮小され再発。 The Stanley Kubrick Archives (25th Anniversary Special Edtn)(Amazon) ※2008年11月に発売されたTaschen社25周年記念版。上記縮小版と何が違うかは不明。 The Stanley Kubrick Archives(Amazon) ※米Taschen社から出版予定の廉価版。  ロンドン芸術大学内に設置された「スタンリー・キューブリック・アーカイブ」の資料をまとめたダイジェスト本。(編纂時はキューブリック邸にあったもの)2005年初版、2008年再販された。掲載作品はカメラマン時代からドキュメンタリー、そして映画監督になってからの『恐怖…』から『アイズ…』それに企画作品として『ナポレオン』『A.I.』『アーリアンズ・ペーパー』まで、ほぼ全作品を網羅していると言っていい。  掲載された貴重な撮影現場のスチールや資料写真を眺めているだけでも満足できるが、映画のスチールは日本の印刷技術には遥かに及ばず、スミかぶりが酷くクオリティも低いのではっきり言って不要。その反面資料写真やポラ、撮影現場の写真は既に一部ネットに出回ってしまっているものもあるが、素晴らしいの一言。前半の映画のスチール写真にページを使うくらいなら、こちらをもっと掲載して欲しかったくらいだ。  そしてやはりその圧倒的な文字情報は読んでみたいと思うもので、ずいぶんと邦訳を待って我慢してきたのだが即納で在庫があったので遂に諦めて最近入手してしまった。でもまだ邦訳を諦めたわけではないので、何処かでどなたかが作業している事を信じつつ、上梓の日を心待ちにしています。邦訳されれば★5の第一級の一次資料に間違いないでしょう。 ※原書は全て英語。ドイツ語・仏語とあるのは、それぞれの言語に訳した冊子が付属す...

【考察・検証】『フルメタル・ジャケット』の幻のシーン「生首サッカー」は真実か?を検証する

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キューブリックはこの後ジョーカーが銃で少女の脳天を撃ち抜くシーンを、ジョーカーの顔のアップで回避した  『フルメタル…』で少女スナイパーを射殺後首を切り落とし、その首でみんなでサッカーをした、というシーンがあったという話が伝わっていますが、一体何処まで本当なのか、実ははっきりしたことは分かっていないようです。検討されたが採用されなかったという話から、元の脚本にはあったという話、さらには撮影されたがボツになったという話まで様々です。  確実なのは、原作小説にアニマル・マザーがナタで首を切り落とし、「胴体と離れて安らかに眠りやがれ、このくそアマ!」と言って溝に首を投げ捨てるシーンがある事。そして その生首 〈閲覧注意〉と首のない遺体の試作が実際に行われていた事、この2点だけです。  現存する試作の生首を見るとサッカーをして蹴られたように汚れていないので、撮影に使われたものではないようです。もちろん撮影に使った物は別にあり、それを使った可能性がありますが、個人的にはその可能性は低いと思っています。  何故なら肝心の俳優たちからそのシーンに関しての直接の証言が全くないからです。また「首をサッカーボールにして遊ぶ」というシーンがどうしてもそれまでの『フルメタル…』のトーンと合致しない気がするからです。キューブリックはタブーを恐れず挑戦する監督でしたが、無用なレイティングをされて視聴制限を掛けられてしまうのも避けたがっていました。そんなキューブリックが原作にもない残虐シーンを撮影したとはとても思えません。それは狙撃兵射殺の瞬間をジョーカーの顔のアップで回避した事からも明白です。  サッカーの話はアイデアとしてはあったかも知れません。ひょっとしたら台本には載った可能性はありますがあったとしてもそこまでだと思っています。ただ、原作にある断頭シーンは撮影を検討したので、生首と切断遺体の試作がされたのではないかと推察しています。でもどうしてもリアルな生首に見えなかったとか、残虐シーンを入れる事でレイティングを上げられる事を嫌ったとかそういう理由で採用されなかったのではないでしょうか。  これも新たな情報が分かれば追記したいと思います。

【関連記事】イングマール・ベルイマン3大傑作『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』がスクリーンに降臨!

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Ingmar Bergman(IMDb)  黒澤明、フェデリコ・フェリーニとならび「20世紀最大の巨匠」と称されるイングマール・ベルイマンの生誕95周年を記念した特別上映が決定。「イングマール・ベルイマン3大傑作選」と題し、『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』の3作が7月20日(土)より4週間限定で公開されることになった。  1918年スウェーデンに生まれたイングマール・ベルイマンは、2007年に世を去るまで、60年以上にわたるキャリアの中、『ファニーとアレクサンデル』『サラバンド』など、約50本以上の傑作を発表。  北欧の光と影を生かしたシャープな映像感覚と、人間の本質に迫る演出は、世界の映画人たちに大きな衝撃を与えており、スティーブン・スピルバーグは「僕はベルイマンの時代をくぐり抜けてきた。彼が作った作品は全て観ている。素晴らしいものばかりだ!」。マーティン・スコセッシは「もし君が50~60年代に、映画を撮りたいと志す青年だったら、ベルイマンに影響を受けない訳にはいかないよ!彼は世界中の、多くの映画作家にとって、強大な影響力をもつ存在だった」。18歳で『処女の泉』と出会ったというアン・リーは、「『処女の泉』でいままで味わったことのない衝撃を受けた私は、映画の道に進むことを決めたんだ」。  そして1960年、スタンリー・キューブリックはベルイマンに宛てたファンレターで、「あなたの映画は常に、私の心を揺さぶった。作品の世界観を作り上げる巧みさ、鋭い演出、安易な結末の回避、人間の本質に迫る完璧な人物描写において、あなたは誰よりも卓越している」と記しているほか、ウディ・アレン、フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダール等ヌーヴェルヴァーグの作家まで、そうそうたる映画人たちが、ベルイマンから影響を受けたことを明かしている。  今回、デジタルリマスター版でスクリーンに復活するのは、ベルイマンが50年代に発表した“世界遺産的傑作群”と呼べる3作品。ウディ・アレンが「最も好きで、最も影響を受けた映画」と語る『第七の封印』、アンドレイ・タルコフスキーがオールタイム・ベストの1本に挙げる『野いちご』、そして黒澤明監督の『羅生門』に強い影響を受けて誕生し、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞した『処女の泉』。これらの作品は現在DVDが入手困難なこともあり、今回の上映は...

【関連動画】「スタンリー・キューブリック・アーカイブ」とドキュメンタリー『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』

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 スタンリー・キューブリック・アーカイブ」は2007年3月、キューブリックの未亡人クリスティアーヌによってキューブリック邸にあった1000以上もの箱の中にあった脚本、プロダクションノート、調査、対応、絵コンテ、注釈付きの書籍、スケッチ、写真、35mmフィルム、ビデオテープ、楽譜、レコード、モデル、セットデザイン、小道具、衣装、照明計画、機材や記念品がロンドン芸術大学に寄贈され、それを機に2007年10月、同大学内に設置されたキューブリックの資料室。  資料のほんの一例はイメージギャラリーで見る事ができるが、これだけ見てもかなり貴重な未公開映像や写真・資料がこのスタンリー・キューブリック・アーカイブに存在している事が分かる。今後キューブリックに関する様々な決定事項(アスペクト比などはその一例)はここの資料を根拠に決定されるものと思われる。火~金曜日の13時~17時までなら一部閲覧可能(ただし非商用の研究のみ、予約推奨)で、コレクションの一部はキューブリック展などに貸し出されている。また、その膨大な資料の一部は書籍『The Stanley Kubrick Archives』『Unboxing Stanley Kubrick's Napoleon』として出版されている。  これら資料がキューブリック邸からロンドン芸術大学に寄贈された顛末は『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』としてドキュメンタリーにまとめられ、2008年7月にチャンネル4でオンエアされた。かろうじてそのトレイラー(上記)だけYouTubeで見る事ができる。またオーストラリアのTV局フォックステルの伝記専門チャンネル、 バイオ・クリエイティブのトレイラー には『ロリータ』でのスー・リオンのカメラテストの様子や『アイズ…』の没テイク、『フルメタル…』での虐殺現場のシーンの撮影風景(ヴィヴィアンが撮影したものだろう)が見られる。  日本ではこれらの情報は皆無で、めぼしい紹介記事も見当たらなかった。せめて前述の書籍2冊(『ナポレオン』は廉価版でも)くらいは邦訳を望みたい。 追記:『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』はBD『フルメタル・ジャケット 製作25周年記念エディション 』に収録されているそうです。「新しいドキュメンタリー映像」が『スタンリー・キューブリック・ボクシーズ』との事です。(情報提...

【アーティスト】バート・スターン(Bert Stern)

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 マリリン・モンロー最期の写真を撮ったと言われているヴォーグ誌のカメラマン、バート・スターン。そのスターンが『ロリータ』のポスターやパッケージ等でさんざん目にしてきた、あのハートマークのサングラスにロリポップを舐めている写真を撮った、というのは殆ど知られていない事実なんじゃないでしょうか。  『ロリータ』をご覧になった方ならご存知ですが、あのビジュアルのシーンは本編には登場しません。純粋に宣材写真として別に撮られた物です。キューブリックはルック社時代に同僚だったスターンに声を掛け、一連のフォトセッションの中からあの写真をチョイスしました。  ところであのビジュアル、髪の毛やあごから下は写っていません。どうしてそうなったのか長年疑問だったのですがトリミング前の写真を見てその謎が解けました。あれは車のルームミラー越しに写したものだったんですね。上下がカットされているのはルームミラーのふちがボケていたからです。つまりあのビジュアルはスー・リオンの鏡像、という事になります。  その後スターンは悪童の名を欲しいままに、モンローを始めオードリー・ヘップバーン、エリザベス・テイラー、ブリジット・バルドー、ツイッギー、マドンナ、カイリー・ミノーグ、ドリュー・バリモアなどそうそうたる女性たちの写真を撮っています。また『真夏の夜のジャズ』(1959)というドキュメンタリー映画の監督としての方がジャズファンには有名でしょうか。キューブリックもジャズ好きでルック時代にシカゴのジャズメンの写真を残しています。そういう意味ではウマが合ったのかも知れません。  2011年にDVDとして発売されたバート・スターンのドキュメンタリー『Original Mad Man』のトレイラーにはロリータのフォトセッションの写真も登場しています。(それにしてもツイッギー若い!)  当時モデルをしていた『非情の罠』のヒロイン、アイリーン・ケーンをキューブリックに紹介したのもスターン。  1929年10月3日、アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン出身、2013年6月26日死去。享年83歳。

【俳優】『ロリータ』を演じたスー・リオンが辿った壮絶人生

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コットンと刑務所で結婚式を挙げるスー  『ロリータ』でロリータは劇中様々な大人たちの思惑に翻弄され(また翻弄し)なかなかハードな人生を送っていましたが、そのロリータを演じたスー・リオンの人生はそれ以上にすさまじいです。今回はそれをご紹介いたします。 1946年7月10日 アイオワ州ダベンポートでスー・リオンはカー・リオンの5人の子供たちの末っ子として生まれた。スーが10ヵ月の時父親が自殺、母親は病院の寮母として働かなければならず、生活は困窮していた。 1958~1959年 この頃、リオン家はロサンゼルスへ引っ越し、スーが家計を助けるために髪をブロンドに染め、モデルとして働き始めた。また『わんぱくデニス』と『ロレッタ・ヤング・ショー』で小さな役を得た。 1960年6月 キューブリックは1959年12月13日にオンエアされた『ロレッタ・ヤング・ショー』でスーを見て、ウラジーミル・ナボコフにロリータ役にどうかと提案した。スーはその時友人のミシェル・フィリップス(後のママス・アンド・パパス)と2人で図書館に行き、小説『ロリータ』のコピーを借りて読んでみたが、12歳(当時)の彼女にとっては難しすぎ、後に「難しくて読み終えることができなかった」と答えた。キューブリックとナボコフはオーディションでスーと会い、ナボコフが気に入ったので800人以上の女の子と面接の後にスーを採用、スーは7年の契約書に署名した。 1960年10月~1961年4月 ロンドンで『ロリータ』の撮影に参加(当時14歳)。この時の事をスーはこうコメントしてる。「キューブリックさんは誰にも恥をかかせないし、威張らない。『ロリータ』は出演者の誰にとってもきまりの悪い映画になりえたけど、彼はそうならないように取り計らっていた」 1962年6月 スーは『ロリータ』に関するインタビューの中で「私は彼女を気の毒に思います。彼女は神経質で、感傷的で、自分自身に興味を持っているだけです」と答えた。スーは6月13日の『ロリータ』初公開を観たかったが、16歳未満は入場不可(当時15歳)の厳しい年齢制限のために劇場に入ることができなかった。『ロリータ』は最終的にMGMに3万7千ドル利益をもたらした。 1962年9月10日 プロモーションのため来日。雑誌の取材などを受けている。 1963年 オスカーにノミネートされ、ゴールデン・グローブ...

【スペシャリレポート】オーディトリウム渋谷でついに『恐怖と欲望』を観た!

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 偉大なアーティストというものはいつの時代も、そしてそのジャンルも関係なく、ファースト・ステップもやはり偉大だった・・・。そんな感想を持ちながら渋谷の街を後にした。  ここにはキューブリックの若さと、映画に対するエネルギーが凝縮し、渦巻き、爆発している。まるでハンブルク時代のビートルズのように。シングル『ラヴ・ミー・ドゥ』でデビューする前、ビートルズ(メンバーはジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、ピート・ベスト、そしてスチュワート・サトクリフだ)はドイツのハンブルクのクラブで激しいビートと大音響でまるでパンクバンドのような演奏をしていた。薄暗く汚い場末のクラブで荒くれ共や酔っぱらいを相手に、その時にできる最大限度でエネルギーを放出していたのだ。この「初期衝動」による創作エネルギーは、特定の年齢とそれを全開可能な状況が揃わないとなかなか実現できない。またとても厳しい環境下である事も必須の条件である。  バンブルクでのビートルズはステージで寝泊まりし、楽屋はトイレ、ロクな音響や機材もない中、言葉の通じない客を相手にそのエネルギーを爆発させていた。この『恐怖と欲望』もまさにそれで、最低限の機材、スタッフ、素人だらけの役者、そして4万ドル(1,440万円)という極少の予算・・・・ただ劇映画を創るんだ、という初期衝動のエネルギーだけを頼りに、それを隠しもせずキューブリックはそのままフィルムに焼き付けたのだ。凝ったカメラアングル、短く挿入されたインサートショット、ボイス・オーバーの重用は既にこの頃からアイデアとしてあったのだろう、勢い余ってくどいくらいに多用しているのも特徴だ。  ただ、技術的、内容的には非常に稚拙でキューブリックが後に封印したがったのも納得するレベルだ。また、映画制作の基礎的なスキル、経験も不足している事が手に取るように分かる。それを批評し、低評価を下す事は非常に容易だ。  だが、次作『非情の罠』ではとたんにプロらしくなってしまう事を考えると、この『恐怖…』における「若さと荒々しさ」は非常に貴重だ。それはハンブルク時代のビートルズにも共通する「若さと荒々しさ」だ。「ビートルズの前期と後期、どちらが好き?」と聞かれ「どちらでもなくハンブルク時代」と答える好事家も多いように、この若さ故のエネルギーの爆発には抗いがたい魅力がある。キューブリッ...

【オマージュ】『スター・トレック イントゥ・ダークネス』に『博士の異常な愛情』の最高作戦室が登場

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 ほんとにハリウッドって『博士の異常な愛情』ネタ好きですねぇ。予告編にも一瞬ですが登場しています。  この『スター・トレック』シリーズですが、世代的にちょっとズレていて、残念ながらTVシリーズ(『宇宙大作戦』)は再放送で断片的にしか観ていませんし、映画も一番最初のやつしか観ていませんので多くは語れません。『スター・ウォーズ』シリーズに比べて地味な印象ですが、ハリウッドのネタ切れが叫ばれて久しい昨今、再利用できるものは大いに再利用しようという事なんでしょう。

【登場人物】エイトボール(Eightball)

 『フルメタル・ジャケット』で売春婦との交渉ではアニマル・マザーに先を越されるわ、逆に戦闘では斥候に先に出させられるわで損な役回りばかりさせられた黒人の歩兵。何故「エイトボール」なのかというと、ビリヤード球の8は黒だから。割と定番の人種差別ネタですので、海外でビリヤードをする際には気をつけましょう。ただ、黒人自身が自分でエイトボールを好んで使う場合は逆に「クール」な意味になります。要するに「自分で言うのは構わないしカッコイイが、他の人種には言われたくない」って事ですね。

【俳優】ドリアン・ヘアウッド(Dorian Harewood)

 『フルメタル・ジャケット』でエイトボールを演じた。他の主な出演作は『原子力潜水艦浮上せず』(1979)、『カリブの熱い夜』(1984)、『クライシス2050』(1990)、『スペース・ジャム』(1996)、『炎のギタリスト ジミ・ヘンドリックス』(2000)、『ゴシカ』(2003)、『アサルト13 要塞警察』(2005)、『スーサイド・マーダー』(2008)など多数。またTVでも多数出演作がある。  1950年8月6日アメリカ・オハイオ州出身。  

【俳優】ピーター・エドマンド(Peter Edmund)

 『フルメタル・ジャケット』でスノーボールを演じた。他の出演作は『007/オクトバシー』(1983)など。出生・年齢不詳。

【登場人物】スノーボール二等兵(Pvt. 'Snowball' Brown)

 『フルメタル…』でハートマンに「聞いて驚くな、スノーボール、うちの食堂では黒んぼ定食は出さん!」と罵られた黒人の新兵。  因になぜ「スノーボール(雪玉)」かというと、ハートマンに名前を聞かれた際「ブラウン〈茶色〉二等兵です」と答えたところ、「ふざけるな!(黒人〈ブラック〉のくせに茶色〈ブラウン〉と名乗るならいっそのこと白〈ホワイト〉と名乗ってしまえという皮肉を込めて)本日より雪玉(白くて玉みたいな頭)二等兵と呼ぶ!気に入ったか?」と人種差別的当てこすりを込めて命名されてしまったのです。その意味を分かりやすくするために、字幕を担当した原田氏は「白雪丸」とわざわざ「白」という言葉を入れて訳したんだと思いますが、あまり伝わっていないようですね。ネットの質問サイトでもよく尋ねられているようですが、どれも上手く説明できていないので、説明してしまうと面白さは半減してしまいますが、ここで説明しておきます。  あと、『アイズ…』でジーグラーがマンディの摂取したドラッグの種類をビルに訊かれた際、「スピードボールかスノーボールか・・・」と言及されています。『アイズ…』はこの他にも過去作への言及が多いので機会があればまとめてみたいと思います。

【考察・検証】レオン・ヴィタリの証言とBD『バリー・リンドン』のアスペクト比問題

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ワイドサイズで『バリーリンドン』を編集中のキューブリック  キューブリック作品のアスペクト比について 、キューブリックの役者兼アシスタントだったレオン・ヴィタリが証言しているインタビュー記事を見つけましたのでご紹介いたします。大体推察通りでしたが新しく知った事実もあります。長文なのでアスペクト比の部分だけポイントをまとめますと、次のようになります。 (1)キューブリックはカメラマン出身なので、撮影時のアスペクト比で上映される事にこだわっていた。しかし、『バリー・リンドン』の際、上映館にヨーロッパビスタでの上映を指示したのに様々な事情からそれが必ずしも厳密に守られていなかった。(『時計じかけのオレンジ』もそうだったようだ) (2)そのため、『シャイニング』以降はアメリカンビスタでの上映も考慮した撮影をせざる得なかった。(アメリカンビスタのガイドを見ながら撮影) (3)したがってキューブリックはほとんどの監督がやる逆をやった。つまり構図を決める際、左右カットのテレビサイズを考慮するのではなく、左右プラスのアメリカンビスタを考慮した。 (4)『シャイニング』の頃はキューブリックはまだビデオに関心を持ってなかった。 (5)キューブリックはアメリカンビスタが好きではなかった。(理由は不明ですが、後で検証します)  つまり『シャイニング』は基本はヨーロッパビスタで構図を決め、アメリカンビスタでの上映を考慮してスタンダードで撮影した。(編集中にアメリカンビスタのマスクをかけていたという証言はこちら)『フルメタル…』以降はアメリカンビスタはもちろん、スタンダードでのテレビ放映やビデオ化に対応できるようにスタンダードで撮影していた姿が想像できます。本人にとっては非常に不本意な事だとは思いますが、『時計…』や『バリー…』の経験からそうせざる得なかったのでしょう。  問題の『バリー…』はスタンリー・キューブリック・アーカイブによると1:1.77で決定されたようです。また この記事 にははっきりと1:1.77のトリミングサイズを青い線で示した画像が掲載されています。キューブリックの「撮影サイズ=上映サイズ」の原則に従えば1:1.77という数字はワイドTVの【16:9】(1:1.78)とほぼ同じなのでピラーボックスなしでOKという事になります。つまり現行のBDのままです。では、DVDの1:1...

【関連書籍】レア本『メイキング・オブ・キューブリック2001』( The Making Of Stanley Kubrick's 2001)

 ジェローム・アジェルの名著『メイキング・オブ・キューブリック2001』が 全ページスキャンアップ されているのが話題になっています。何故今頃・・・と不思議に思っていたのですが、現在絶版で入手困難らしいです。古本なら上記amazon等で入手可能かと思いますが、新品だと29,032円ですか。確かにレアですね。日本では邦訳され『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』として出版済。ただしこれは全訳ではありません。  それにファンなら、マニアならペーパーバックスの原本を持っている、という方も多いのでは?かく言う私も持っています。1970年に出版されたのに邦訳が1998年になってからと遅かったので、書店の洋書コーナーで1985年頃に普通に購入しました。今となってはあまり意味がなく、すっかり変色し汚れてしまっていますので、コレクターでもないし捨ててしまおうかとも思ったのですが、これは捨てないで持っていた方が良さそうですね。

【アーティスト】『時計じかけのオレンジ』の裸婦像テーブルのデザインに影響を与えたアレン・ジョーンズ

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キューブリックが『時計じかけのオレンジ』のプロップデザインを依頼したアーティスト、アレン・ジョーンズ(1970年頃)  『時計じかけのオレンジ』の裸婦のテーブルや自動ミルク販売機のデザインのアイデアは、60年代にポップ・アートの旗手として、あのアンディ・ウォホールと並び称されたアレン・ジョーンズの一連の半裸のボンデージ家具からインスパイアされたものです。少し前ですが、その家具がサザビーズで3点セット3億2000万円で落札された事がニュースになっていました。 「女体家具」が3億2000万円で落札 制作された当初は、フェミニストらに嵐のような抗議を浴びせられた、アンディ・ウォーホルと並ぶ60年代ポップアートの旗手のひとり、アレン・ジョーンズ (Allen Jones)の作品3点が、サザビーズのオークションにかけられ、記録的な高値となる260万ポンド、日本円にして3億2000万円で落札されました。 出品されたのは、いすとテーブル、それに帽子掛けの3点で、いずれも半裸の女性がモチーフとして使われています。コレクションは、元ブリジッド・バルドーの 夫でもあるドイツの億万長者、ギュンター・サックスが所有していたもので、今回のオークションでは最も入札の多かった品物でした。 ( 引用:GIGAMAN )  キューブリックはこのボンデージ家具が気に入り、映画でオファーしたそうですが、両者の折り合いがつかずこの話は流れ、結局『2001年宇宙の旅』でスター・チャイルドを製作したリズ・ムーアに製作を依頼、映画で使用されました。  ネット上では、ジョーンズ側が断ったという話と、キューブリック側が断ったという話が入り乱れていますが、実際はジョーンズは一旦オファーを引き受けたようで、上記のような試作までしています。でも凝り性のキューブリックの事、あれこれ注文を付け、それに嫌気がさしたジョーンズが断ったのでは、と考えています。  ジョーンズのボンデージ家具はマネキンのようで、実際の女性に近い印象です。この事からフェミニスト団体から嵐のような抗議をうけたそうですが、キューブリックは無用なトラブルには巻き込まれたくなかったので、より抽象的な、裸婦像のような形への変更を考えたのではないでしょうか。しかし、自分の作品を曲げたくなかったジョーンズがそれを断ったため、仕方なくムーアに製作を依頼。その際、ジョー...

【パロディ】ノルウェーで開催された『JavaZone X』のプロモーション・ムービー

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 2011年9月7日から8日にかけてノルウェー開催されたJava開発者会議『Java Zone X』のプロモーション・ムービーです。全編が『シャイニング』のパロディになっています。多分デベロッパーの方とか、そういった方面に強い方なら全編に渡ってちりばめられたネタに気づくんでしょうね。残念ながら全くの門外漢なのでほとんどチンプンカンプンなのですが、403号室とその部屋の秘密には笑えました。それに斧でドアをぶちやぶっての一言は有名なあの方の名前です。そして最後のグレイディ(別の名前になっていますがこれも・・・)の言葉には当事者は背筋が凍るのではないでしょうか(笑。  映像はチープですが、『シャイニング』全編をパロディ対象にしていて完成度は高いです。しかもキューブリックの他作品もパロディにするサービスっぷり。チープな映像はご愛嬌ですね。

【関連動画】55分間に渡り語るスタンリー・キューブリックの『シャイニング』の歴史

Staircases to Nowhere: Making Stanley Kubrick's 'The Shining'  例の『シャイニング』のデタラメ(not)ドキュメンタリー『ルーム237』や『シャイニングコード2.0』(これも負けず劣らずでたらめのオンパレード)に業を煮やしたのか、当事者の証言を集めたビデオがアップされたようです。  証言者はキューブリックの妻クリスティアーヌ、プロデューサーでクリスティアーヌの弟ヤン・ハーラン、ADのブライアン・クック、カメラ技術のミック・メイソン、ポストプロダクション音響のレイ・メーリン、第二班のカメラマンのダグ・ミルサム、カメラオペラーターのケルビン・パイク、美術のロン・パンター、コンテのジュン・ランドール、ワーナー広報のジュリアン・シニアです。  当ブログで『ルーム237』はドキュメンタリーじゃないとさんざん批判していますが、こういうのを「ドキュメンタリー」と言うんですよ。関係者に一切取材せず、こじつけ陰謀論を映画にして金儲けしようとしか考えていない「エセ・ドキュメンタリー」となんか一緒にして欲しくないですね。なんせソースは「脳内妄想」だけですから。