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【関連記事】すさまじい電波と妄想、無理矢理のこじつけ。『ROOM 237』のあきれた内容

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   『ROOM 237』のプレス向け資料に掲載されていたストーリーの内容が判明しました。これだけ読んでみても凄まじい電波とトンデモっぷりが分かりますのでご紹介します。 ストーリー【ネタバレの可能性あり】 ●『シャイニング』に関する代表的な9つの考察(ストーリー) *これらはあくまで映画で描かれる独自の解釈であり、キューブリックの本意ではありません 1.ふくらし粉の缶詰に隠された意味  映画の序盤、オーバールック・ホテルの料理長ハロラン(スキャットマン・クローザース)の背後にある食料庫の棚に“カルメット”というふくらし粉の缶詰が置かれている。“カルメット”とは北米の先住民が和平の印として吸った長パイプのこと。“カルメット”の缶は後半、主人公ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)がかつて妻子を惨殺した管理人グレイディ(フィリップ・ストーン)の幽霊と対話するシーンにも映っている。キューブリックはこの場面で、わざと複数の缶をバラバラの向きに置いた。それは和平の破綻、すなわち大量虐殺の暗示なのである。 2.タイプライターや“42”という数字に秘められた隠喩  作家のジャックが使用するタイプライターはドイツのアドラー社製だが、アドラーとはナチのシンボルでもあった“鷲”を意味する。劇中、ジャックが着ているTシャツにも“鷲”があしらわれている。またキューブリックは、ナチがユダヤ人の絶滅を決めた1942年の“42”という数字にこだわっており、ホラー映画の形をとって間接的にホロコーストというテーマを扱ったと解釈できる。237号室の部屋番号を2×3×7と掛け合わせると“42”になるのは、単なる偶然なのだろうか? 3.観客の性的な欲求を刺激するサブリミナル効果  『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』で映画術を究めたキューブリックは、新たな挑戦の一環としてCMなどに用いられるサブリミナル効果の手法を導入した。それらは観客の性的な欲求をかき乱すもので、次のような一例がある。映画の冒頭、ジャックがホテル支配人アルマン(バリー・ネルソン)の面接を受けるシーン。まるで冗談のようだが、ジャックとアルマンが握手を交わした直後、オフィスのデスクに置かれた黒いペーパー・トレイがアルマンの“男性自身”に早変わりするのだ! 4.存在するはずのない窓  これもジャックがアルマンのオフィス...

【ブログ記事】1979年1月『シャイニング』の撮影中にセットが火事で焼失した現場写真

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 キューブリックが安全に極端に神経質だった事は飛行機嫌いな点や、車に必要以上のスピードを出させなかったこと、不要な場所でもセットではヘルメットを被っていたことからも伺えますが、この写真でもそれは伺えます。  1979年1月末の午後6時頃、セットに隣接する部屋で火災が発生、丁度セットで撮影をしていたキューブリックを始め、全員に避難命令が出されました。そして炎は朝までにコロラドラウンジ、ロビー、廊下など主要なセット全てを焼き尽くしてしまいましたが、幸いな事に人的被害はなかったそうです。翌朝、その現場を訪れたキューブリックの写真が上記です。まるで自分がいるセットで火災にならなくて良かった、と安堵し、笑っているように見えます。このセット火災によりセットの建て直しをする羽目になり、スケジュールは大幅に遅延。予定されていた『スター・ウォーズ 帝国逆襲』の撮影は別のスタジオで行われる羽目になってしまいました。  火災の原因は特定できなかったそうですが、「セットに隣接する部屋」ということは倉庫か機械室、更衣室などだと思います。『シャイニング』では大量の照明を使っていたので、電気関係のショートかも知れませんね。  

【ロケーション】チェルシーホテル(Hotel Chelsea)

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 『2001年宇宙の旅』の共同原案者、小説版『2001年…』を執筆するために長期滞在したニューヨークにある老舗ホテル。宿泊していたのは1008号室。数多くのアーティストが定宿にしていたホテルとして有名で、作家のディラン・トマスやセックス・ピストルズのシド・ヴィシャスのガールフレンドであるナンシー・スパンゲンはこのホテルで死亡している。また、ニコのアルバム『チェルシー・ガール』もこのホテルからの引用だ。  クラークが『2001年…』を執筆している、その当時の写真は以下の通り。

【パロディ】もし有名監督がクリスマスを映画化したら?

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 もし有名監督がクリスマスを映画化したらどうなるか?というパロディ動画。もちろんキューブリックも登場。個人的にはスピルバーグ、マーティン・スコセッシ、マイケル・ムーアあたりがツボでした(笑。でもこのメンツに何故エイゼンシュテインが混ざっているのかが謎。製作者の趣味でしょうかね。

【インスパイア】『時計じかけのオレンジ』の影響を感じさせる、マドンナの『ブロンド・アンビション・ツアー』のステージ衣装

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 『ブロンド・アンビション・ツアー』(1990年)の映像です。曲は『キープ・イット・トゥゲザー 』。衣装はどう見てもモロに『時計じかけのオレンジ』のアレックスを意識していますね。  この衣装をデザインしたのはジャン=ポール・ゴルチエ。ゴルチエといえばSMやボンデージライクなデザインで有名ですので、この衣装はまさにアレックスの扮装をゴルチエ風にした感じです。ただ同ツアーでは「コーン型ブラ」の方が話題になりましたね。

【関連動画】キューブリックが編集した『アイズ ワイド シャット』の予告編

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  『アイズ…』の予告編は数種類ありますが、キューブリックが編集したのは上記動画のみです。実はこの撮影、トム・クルーズとニコール・キッドマン、そしてキューブリックだけの3人で行ったそうで、撮影の際には雰囲気を盛り上げる為に、セットでも同じように『バッド・バッド・シング』が流されました。よく見るとキッドマンの腰を振る仕草はリズムを取っているようにも見えますね。  キッドマンはこの一連の撮影についてインタビューで  「スタンリーは映画の中の二人の性生活が、実際の私たちの性生活であるかのように見せようとしていて、挑発的だった。でも私たちは気にとめなかった。明らかにそれは私たちではなかった」 (引用: MAASH/2012年10月25日 ) と答えています。つまり観客のノゾキ趣味を理解した上で、わざとそれを煽るような予告編を作ったのです。そしてその挙げ句、最後に突きつけた台詞が「ファック」ですからね。本当に底意地の悪い監督です(笑。

【考察・検証】キューブリック作品のタイトル考

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   キューブリックは作品タイトルには、原作をそのまま流用したもの(『突撃(栄光の小径)』『スパルタカス』『ロリータ』『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』)と、オリジナルのタイトルを付けた作品と2種類あります。今回は後者のオリジナルタイトルを考察したいと思います。 『恐怖と欲望(Fear and Desire)』  相反する感情や概念をそのままタイトルに使った1例目。「恐怖」は恐怖で狂ってしまったシドニーを、「欲望」は戦果を挙げて出世を考えたマックを表している、というのは短絡的過ぎでしょうか。広義に考えれば戦争という行為そのものが「恐怖と欲望」の産物であるし、狭義に考えれば戦果か脱出かで揺れる小隊の姿そのままだとも言えるでしょう。 『非情の罠(Killer's Kiss)』  相反する感情や概念をタイトルにした2例目。当初は『キスして、殺して(Kiss Me, Kill Me)』というタイトルでした。当然グロリアの事を指すのだと思われますが、いかんせん主演女優の力不足で「キスして、殺して」という程の存在感はありません。仕方ないので言葉のトーンを弱めた『殺人者のキス』というタイトルにしたのではないでしょうか。また、『キスして、殺して』では扇情的すぎるため、前作『恐怖と欲望』の時にポルノとして宣伝されてしまったのを警戒しての措置だったのかも知れません。因に「Kiss」と「Kill」は音の響きが似ているため、映画や本、曲のタイトルによく使用されています。 『現金に体を張れ(The Killing)』  キューブリックが好んだダブル・ミーニングのタイトルの1例目。「Killing」には「殺害」と「大もうけ」と両方の意味があります。まさに『現金…』のストーリーそのままです。 『博士の異常な愛情:または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)』  相反する感情や概念をタイトルにした3例目。「異常愛博士」とは作中のストレンジブ博士を指すのは明白ですが、次の「または~」については<a href="http://kubrick.ldblog.jp/archives/52017920...

【関連書籍】週間少年マガジン 1968年3月24日号『2001年宇宙の旅』特集号

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Zontar of Venus - 2001 a Space Odyssey (1968) Japanese Magazine illustrations(Blog)  この本、神保町の古本屋やオークションで探していたんですが、『2001年宇宙の旅』の特集ページがスキャンアップされているブログを見つけましたのでご紹介します。表紙はあの小松崎茂氏です。  特集記事のイラストの作者は始めから牧光隆、水気隆義、梶田達二、鴨下虎男、桑名起代至、南村喬之となっています。全員の方の詳細は分かりませんでしたが、小松崎氏の元で働いていたスタッフか、出版関係のイラストで活躍されていた方の作品のようです。  それにしても驚いたのが、各メカの内部やディテールの考証がしっかりしている点です(もちろん間違いもある)。これだけの画を描けたのには、しっかりとした資料の提供がキューブリックサイドからあったものと推察されます。構成を担当した大伴昌司氏の働きも見逃せません。  ディスカバリー号が「ディスカバラー号」に、クラビウスが「クラピアス」に、宇宙ステーションV(ファイブ)が「宇宙ステーション1(ワン)」になっているのはご愛嬌として、月面のモノリスがピラミッド型なのに注目。しかもしっかりとあらすじまで掲載されています。  日本での『2001年…』の公開は1968年4月11日ですから、この号は公開前に発売された事になります。現存冊数は少ないでしょうから、所有されている方は大切に保管される事を望みます。上記のブログは海外のマニアの方のようですが、どうやって入手したんでしょう?羨ましい限りです。

【関連記事】『シャイニング』愛が止まらない!細田守監督が支持する『ROOM237』とは?

 20世紀最高の巨匠スタンリー・キューブリックがスティーヴン・キングの小説を映像化した『シャイニング』は、映画史上最も恐ろしく芸術性の高いホラーとして語り継がれている。そんな伝説の作品に渦巻くミステリーの解明に挑んだ異色作『ROOM237』が著名人の間で話題になっている。  本作は、5人のキューブリック研究家が次々と意外な着眼点や矛盾を指摘し、衝撃的にして奇想天外な『シャイニング』論を披露。キューブリックの長編デビュー作『恐怖と欲望』から遺作『アイズ ワイド シャット』までの全作品の場面映像を引用し、天才監督の脳内を分析するかのような驚くべきドキュメンタリーとなっている。  一足早く本作を鑑賞した板尾創路は「キューブリックの新作は観る事は出来無いけど、この映画を観たら『シャイニング』が新作同様に楽しめた」と絶賛。『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督は「今度はオレの『シャイニング』語りも聞いてくれ! 」とシャイニングフリークであることをカミングアウト。演出家&映画監督の大根仁は「キューブリックが観たらガン無視されるであろう(誉め言葉です!)シャイニング&キューブリックおたく達による妄想コラージュドキュメント。『そんなわけないよ! 』が『いや、あるかも…』になっていくのがたまらない! 」と作品の魅力を分析した。  そのほか、「ここまで愛されるとは、あの世のキューブリックも喜んでいるはず」(映画監督・松江哲明)、「この“第1回シャイニング深読み大会”を見て、俺の話を聞けと世界中から新たな選手が参戦しそう」(漫画家&イラストレーター・花くまゆうさく)、「私も『シャイニング』にとり憑かれた一人。なぜスティーブン・キングは映画を気に入らなかったのか…」(漫画家・いがらしみきお)、「いいともは終わっても『シャイニング』の輪に終わりはない」(演出家&脚本家&俳優・河原雅彦)と、キューブリックへの愛と『シャイニング』への情熱に溢れた言葉が並んだ。  さらに、作家・平山夢明は『シャイニング』を“観るドラッグ”称し、映画監督・樋口真嗣はその衝撃ゆえに「こんなのありか? 多分アウト。訴えられるぞ! 」と本作を評価。マンガ家・カネコアツシは「ここまで人を狂わせる何かを創ってみたい! 」と仕事意欲を触発されたようだ  あらゆる映画ファンの知的好奇心を刺激する、新たな発見に満ちた237号室。そ...

【ブログ記事】『ROOM 237』をネタバレさせ、そのくだらない正体を暴く

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 当ブログで『ROOM 237(ルーム 237)』を散々「金儲け主義者のデタラメ陰謀論映画」とこき下ろしていますが、何故観てもいないのにそう断言できるのか、それを説明したいと思います。  管理人が当ブログの前身であるキューブリックのファンサイト『CataComB』を立ち上げた1998年、『ROOM 237』という『シャイニング』の海外のファンサイトがあるのに気が付きました。内容はマニアとおぼしき連中が、よってたかって『シャイニング』の映像を解析、さまざなま矛盾点や意匠からメッセージをこじつけ、それをネットで披露しあって遊ぶ、という趣旨のサイトだったと記憶しています。  『CataComB』で海外の良質なサイトを紹介するリンクページを設けていた関係上、こういった海外のサイトの内容には注意を払っていました。有益な情報が集まるサイトならともかく、こういった「隠謀論ごっこ」で遊ぶサイトは無益だと判断し、リンクページには載せませんでした。(ある時期は載せていたかも知れません。なにせ昔の話なので記憶が定かじゃないですが、手元に残っている最終ログには掲載がありませんでした。)つまり公開される『ROOM 237』とは、元々はマニアがネット上で『シャイニング』をネタに隠謀論を披露し合うサイトだったのです。もちろんそれに根拠や証拠など必要ありません。本人たちもそれを承知の上での、単なるお遊びですから。  では何故そんなデタラメなサイトが映画化されたのでしょう。これは推察ですが、原因は例の『オペレーション・ルーン』にあると思います。フランスのTV局が製作し、2003年のエープリールフールに放送したこのジョーク番組は大きな話題になり、世界中でオンエアされました。日本でも『ビートたけしの世界はこうしてダマされた!?』で短縮版ですが取り上げられています。この成功を目の当たりにした出資者が二匹目のどじょうを狙ってネタ探しをしたであろう事は想像に難くありません。その出資者が目をつけたのがネットで隠謀論ごっこをしていた『ROOM 237』だった、という訳です。  しかも『オペレーション…』には大きな「免罪符」が備わっています。それはキューブリックの遺族、妻のクリスティアーヌと義弟のヤン・ハーランが出演し、この隠謀論に加担してしまっているのです。(もちろん最後にネタばらししていますが)つまり、キューブ...

【関連書籍】あの「ハートマン軍曹」による自己啓発本「Gunny’s Rules: How to Get Squared Away Like a Marine」が発売

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Gunny's Rules: How to Get Squared Away Like a Marine(Amazon)  映画「フルメタルジャケット」の鬼教官、ハートマン軍曹役として伝説的な名演技を見せた俳優リー・アーメイが、チンピラだった高校時代から海兵隊員として立ち直った自身の経験を元に初の自己啓発本「Gunny’s Rules: How to Get Squared Away Like a Marine」を出版しました。  「Gunny’s Rules: How to Get Squared Away Like a Marine(軍曹のルール:海兵隊員のようにビシっと鍛え上げる方法)」は「去勢された弱虫男たちが尊厳を取り戻す」ために「体を鍛え、自己主張する」方法を学べる1冊。これを読めば一生懸命働き、高い目標を達成し、模範的な人生を過ごすことができるようになるそう。  翻訳はまったく未定のようですが原書については日本でもAmazon.co.jpでの販売があるようです。  とかくオス臭いというか男根主義的な生き方は避けられる昨今、タフな男、あるいはタフな女を目指したい人には最適な一冊ではないでしょうか。著者自身による紹介動画はこちら。 (引用: デイリィ・ニュウス・エイジェンシィ/2013年12月11日 )  ハートマン軍曹だと自己啓発じゃなく、自己鍛錬にしかならなさそうですが・・・。それはともかく、軍曹ならどんな厳しい事を言われてもなんだか許せちゃう気がするのは、ある種の「笑いのセンス」が秀逸なせいでしょうね。  肝心の内容ですが、「ハリウッド」と言及されている部分が気になります。当然『フルメタル…』やキューブリックについても触れられているでしょうから、日本の出版社には是非とも邦訳をお願いしたいです。

【ブログ記事】『コンバット!』をパクったと言われても仕方のない、北米版『恐怖と欲望』DVD/BDのパッケージデザイン

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 北米版『恐怖と欲望』DVD/BDに描かれているライフルとその先に付けた銃剣のイラストですが、これを見てこのTV番組のオープニングを思い出した方は多いのでは?管理人は『コンバット!』をリアルタイムで観ていた世代ではありませんが、それでも有名なテーマ曲は知っていました。いくら『恐怖…』の内容が偶然『コンバット!』と似ているからといって、それに似せたパッケージデザインを採用する神経が分かりません。ひょっとして『コンバット!』と間違ってこのBDを購入させようとするミス・リード戦略なのでしょうか?  もちろんキューブリックとは何の関係もない話です。『コンバット!』は1962年から1967年までアメリカABCで製作・放映され大人気となり、日本でも放映されました。当たり前ですが、その頃『恐怖…』はキューブリックによって固く封印されていたので、ABCの関係者が『恐怖…』に影響を受けた可能性は皆無です。  何故こんなパクリと言われても仕方の無い、インチキ臭い事をしたのでしょう?北米版販売元のキノ・ローバー社の姿勢は非常に疑問です。日本の販売元のアイ・ヴィー・シーさんはこのデザインを採用しませんでしたので一安心・・・と思っていたのですが、いくつかのグッズで銃剣のイラストを使っているようです(溜息。誰か止める人はいなかったんでしょうか?これじゃキューブリックの『恐怖…』は『コンバット!』のパクリ(あるいは逆に『コンバット!』は『恐怖…』のパクリ)などと誤解されかねません。内容が似ているだけに両者ともにいい迷惑です。  ここで明言しておきます。キューブリックの劇場用映画処女作『恐怖と欲望』と、アメリカABC製作のTVドラマ『コンバット!』。この両者には何の関係も、関連性もありませんし、影響云々もありません。全てはキノ・ローバー社が恣意的に(と考えざるを得ない)ライフル銃と銃剣のイラストをパッケージに採用したのが元凶です。その「元凶」は、日本版の販売元にも誤解を与えて(この事実を知らなかったとすれば)しまいました。こういった販売戦略は中小の配給会社や販売代理店ではよくある事とはいえ、コンプライアンスが叫ばれて久しいというのに、甚だ残念という他ありません。

【作品論】恐怖と欲望(Fear and Desire)

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Fear and Desire(IMDb)  キューブリック初の劇場用長編映画『恐怖と欲望』。若干25歳のキューブリックが作り上げたこの作品にははっきりとキューブリックの強い意志が込められている。それは通常の劇映画ではあまり試みられてこなかった「映像で語る」という手法だ。短く挿入されるインサート・カットやヴォイス・オーバーの多用、凝ったカメラアングルや画面構成、影を巧みに使った演出など、後にキューブリックのスタイルを象徴する手法が頻出している。キューブリックは最初から「演劇的映画」との決別を考えていたのだ。  だがそれは後年の洗練さとはかけ離れた、いかにも青臭く、気取りだけが鼻につく稚拙なものだった。加えていかにも低予算ありきで作られた雑な脚本、敵と味方が同一の役者で演じられるという苦し紛れのキャスティング、飛行機や敵基地等、必要な大道具やセットを用意できなかった為であろう安っぽい映像・・・。キューブリックが後年封印したがるのも無理のない低質な完成度だった。  斬新な映像表現にたいする自信と意欲、その反面求めたクオリティには到底及ばない様々な現実。キューブリックは次作『非情…』からはあえて「演劇的映画」へと舵を切り、まずは興行的成功と知名度のアップを目指すようになる。時折「映像で語る」という手法をチラつかせつつも、それは『ロリータ』まで約10年我慢しなければならなかった。  本作で着目すべきは、若干25歳にしてはっきりと自身の目指す映像表現のアイデアに確固たる自信と確信を持っていた、という事実だ。それを確認できるだけでもファンにとっては価値ある映像だろう。キューブリックが封印したという事実に鑑み、鑑賞を自粛する考えもあるようだが、未公開映像ならともかく、いったんオフィシャルに上映された以上それを取り消す事はできない。それはどのジャンルのアーティストも同じだ。これについてはキューブリックに諦めてもらうしかなさそうだ。

【オマージュ】『マッドメン』のキールナン・シプカが『シャイニング』の双子の少女に変身

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 これ最初に見たときフルCGかと思ったんですが、一人の女優を撮影してフォトショで合成してるんですね。  このモデルとなったキールナン・シプカですが、日本では全く知られていませんがTVシリーズの『マッドメン』に出演している女優だそうです。1999年11月10日生まれですからこの記事の時点で13歳ですか。しかもキューブリックが生きていた全く時代を知らない世代。そんな彼女がこの仕事を受けた理由がスティーブン・キングのファンだからそうです。  製作過程のビデオは興味深かったですが、完成した写真を見るとフォトショのスキルが著しく低いですね。合成感丸出しの影が違和感ありありです。せっかくセットまで立て込んだのにこれはないですね。

【イベント情報】『モンスター・マニア・コンベンション』に『シャイニング』の双子の少女、リサ&ルイーズがゲストとして来場決定

  『シャイニング』の双子の少女役で有名なリサ&ルイーズ姉妹がニュージャージーで3月に開催される 『モンスター・マニア・コンベンション』 にゲストとして来場するそうです。こういった公の場所に登場するのは1999年のTV番組以来ではないでしょうか。  なにかと情報の少ないリサ&ルイーズですが、ダニー・ロイドのように来場の様子がYouTubeにアップされるでしょうから、今から非常に楽しみです。それに合わせたのか、ご本人たちが ツイッターを開設 したようです。まだフォロワーが少ないようですので、フォローしてみてはいかがでしょうか。私もフォローしましたが、なんとリフォローして頂きました!すごい!!  『モンスター・マニア・コンベンション』は2014年3月7~9日、場所はニュージャージー・チェリーヒルのクラウンプラザホテルです。

【考察・検証】『アイズ ワイド シャット』が『アイズ・ワイド・シャット』でない理由

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 通常洋画の日本語版タイトルを決定する際、そのまま英文タイトルをカタカナで表記する場合は『スター・ウォーズ』の用に「・(ナカグロ)」を入れるのが慣例となっています。しかし『アイズ…』は『アイズ ワイド シャット』と単語の間に半角アキを入れろとの指示がキューブリックサイドから日本のワーナーに向けてあったそうです。その理由は「アイズ・ワイド・シャット」と各々文節として区切るのではなく、「アイズ ワイド シャット」という一文として扱いたかったのではないかと想像しています。つまり「アイズ ワイド オープン」という慣用句のもじりである事を念頭にした措置という事です。  文節を区切れば「目を・大きく(広く)・閉じる」になり、慣用句「目を見開く(Eyes Wide Open)」をもじった一文「目を見閉じて」とはずいぶんと印象が違います。トリッキーで不思議な違和感があり、そして少しドキっとするのは断然後者ですね。 結論:『アイズ・ワイド・シャット』を拒否し『アイズ ワイド シャット』とした理由は、『Eyes Wide Shut』を各文節単位ではなく、一文として認識して欲しかったためだと思われる。慣用句「Eyes Wide Open(目を見開く)」をもじったものであるという意図も明確にしたかかったのではないだろうか。  つまり『アイズ…』を論評する際、この「目を見閉じて」という一文の意味をどう捉えるかが重要になってきます。元の「Eyes Wide Open」には「ほら、目を見開いてしっかり見なさいよ!」という注意喚起のニュアンスも含んでいます。そういう意味からも『アイズ ワイド シャット』はキューブリックの「ほら、しっかり見ているか?お前はちゃんと見ているつもりでもなんにも見えていないじゃないか!」という注意喚起、つまり警鐘のような気がしてなりません。  まあ、単に英単語の間にナカグロを入れるという日本の風変わりな慣習に、キューブリックが「合理的な理由がない」と却下しただけ、という可能性も捨てきれないですけどね(汗。

【オマージュ?】ハリウッド版『GODZILLA(ゴジラ)』の予告編

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 いきなりジェルジュ・リゲティの『レクイエムII キリエ』が流れ出してびっくり。どこかにモノリスが登場するのかと思いきや・・・最後に登場したのは日本でもおなじみのあの「背びれ」でした。前回のローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』はかなり評判が悪かったですが、今回は監督がゴジラ・ヲタのギャレス・エドワーズだそうで、ずいぶんと期待が集まっているみたいです。  でも何故『レクイエム…』を使ったんでしょう?オリジナルの日本版コジラは水爆実験の結果誕生した怪獣ですが、今回はひょっとして宇宙から飛来した生命体という設定?原発事故が収斂していない日本では、興行に支障があるので設定を変えたとか?まあ、これは観てからのお楽しみでしょうね。

【名曲】ジェルジュ・リゲティ/レクイエムII キリエ(Gyorgy Ligeti - Requiem II Kyrie)

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 『2001年宇宙の旅』の進化のテーマ曲が『ツァラトゥストラはかく語りき』なら、モノリスのテーマ曲はこの『レクイエムII キリエ』でしょう。モノリスが登場したシーン(400万年前の地球、月面のTMA-1発掘現場、木星衛星軌道上)には必ずかかっています。(最後の白い部屋のモノリスは『ツァラトゥストラ…』のみ)  ジェルジュ・リゲティ作曲のこの『レクイエム』ですが『イントロイトゥス』、『キリエ』、『ディエス・イレ』、『ラクリモーザ』の4つのパートに別れていて、『2001年…』で使用されたのはこの『キリエ』の部分。全曲は ここ で聞けますが、是非全曲通して聴いていただきたい。キューブリックは『2001年…』以降、『シャイニング』と『アイズ…』で好んでリゲティを採用していますが、それも頷けるほど声楽隊の圧倒的な声量と比類なき個性的なメロディで強烈な印象を残します。圧巻です。

【撮影・技術】ポストプロダクション (Post-production)

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『バリー・リンドン』を自宅で編集中のキューブリック  撮影後に行う編集、アフレコ、BGMや効果音などの音入れ、特殊効果の追加などの後行程の事で作業は多岐に渡る。キューブリックはプリプロダクションにも時間をかけるが、ポストプロダクションにも時間をかけるので有名で、特に編集とそれに合わせたBGMの選定には徹底したこだわりを見せている。

【関連記事】「スティーブン・キング原作映画ベスト10」米タイム誌が発表

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 米タイム誌が、現在クロエ・モレッツ主演のリメイク版「キャリー」が公開中の、モダンホラーの巨匠スティーブン・キング原作の映画ベスト10を発表した。  1974年に発表されたキングの処女作「キャリー」が、ブライアン・デ・パルマ監督によって映画化されたのが1976年。以来40年、変わらぬ創作意欲で新作を発表し続けるキングの小説は、その多くが映像化され、現在も複数の映画化企画が進行中だ。  以前、英Total Film誌がキングの原作映画50本をランキングしたことがあるが、一人の作家のシリーズ作品以外の映画化だけで50本を選ぶことができるのも驚嘆に値する。またキングは、米業界誌ハリウッド・レポーターが選ぶ「ハリウッドで最も影響力のある作家」2012年度版の第1位にも選ばれている。  タイム誌によるベスト10は以下の通り(製作年度順)。 ▽「キャリー(1976)」(ブライアン・デ・パルマ監督) ▽「シャイニング」(1980/スタンリー・キューブリック監督) ▽「デッドゾーン」(1983/デビッド・クローネンバーグ監督) ▽「スタンド・バイ・ミー」(1986/ロブ・ライナー監督) ▽「ミザリー」(1990/ロブ・ライナー監督) ▽「ショーシャンクの空に」(1994/フランク・ダラボン監督)原作「刑務所のリタ・ヘイワース」 ▽「黙秘」(1995/テイラー・ハックフォード監督) 原作「ドロレス・クレイボーン」 ▽「ゴールデンボーイ(1998)」(ブライアン・シンガー監督) ▽「シークレット・ウインドウ」(2004/デビッド・コープ監督) 原作「秘密の窓、秘密の庭」 ▽「ミスト」(2007/フランク・ダラボン監督) 原作「霧」 (引用: 映画.com ニュース/2013年11月24日 )  以前も似たような企画がありましたが、セレクトがちょっと違いますね。でも『キャリー』、『シャイニング』、『デッドゾーン』、『スタンド・バイ・ミー』、『ミザリー』、『ショーシャンク…』まではかぶってますから、この6作品は鉄板と考えてよさそうです。評価が定まった、とも判断できますね。もちろん、異論はないです。

【関連動画】ワーナー公式『時計じかけのオレンジ』の新しい予告編

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   なんだかネタバレしまくってますが、ブルーレイディスク発売に合わせて再編集された新しい予告編です。今風にカッコ良くは編集されていますが、やはりオリジナルにはかないませんね。

【関連商品】アイリス9000 ブルートゥース・スピーカー&スピーカーフォン(IRIS 9000 Bluetooth Speaker & Speakerphone)

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 要するにiPhoneと無線接続するHAL9000型ブルートゥース・スピーカーとリモコンのセットのようです。iPhoneのSiriや通話をする際、ちょっとHALっぽく遊べるガジェットですね。音声に合わせてHALのレッドアイがちらつくのはなかなか凝ったギミックですが、59.99ドル(約6100円)って。スピーカーやアンプの品質は高くなさそうなので音楽再生には向いていないでしょうから、Siriとのやりとりや通話程度にしか使えなさそうです。しかも充電機能が無いようですし・・・。誰か買う人はいるんでしょうか?

【ロケーション】グレイシャー国立公園(Glacier National Park)

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グレイシャー国立公園のセントメリー湖  『シャイニング』のオープニングの空撮(最後のティンバーライン・ロッジの空撮以外)が撮影されたロケ地で、アメリカ・モンタナ州のカナダ国境にある国立公園。世界遺産でもあります。ワーゲンが走る道路は「ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード」で東のセントメリー湖と西のマクドナルド湖を結ぶ、全長85kmの風光明媚な観光道路(冬期閉鎖)。  オープニングはティンバーライン・ロッジの空撮である最後のワンカット以外、セントメリー湖からマクドナルド湖へ向かう映像が使用されていて、最初の湖のカットはそのセントメリー湖。湖に浮かぶ小島が特徴的。この小島は湖の大体中程にあります。  ちなみにトランス一家が改めてホテルに向かうシークエンスで使われたカットは、オープニングとは逆にセントメリー湖への復路の空撮が使用されたようです。

【交友録】ジョン・ミリアス(John Milius)

 『ダーティーハリー1/2』や『地獄の黙示録』の脚本家。後に監督業にも進出。黒澤明のフォロワーでも有名。  好戦的だとか右翼だとか批判の多いミリアスですが、キューブリックとも親交があり、『フルメタル・ジャケット』では『地獄の黙示録』の経験から色々キューブリックにアドバイスしたそうです。リー・アーメイは『地獄…』にも参加していますので、ミリアスかマイケル・ハーの推薦があったんではないでしょうか。  その『地獄…』のラストシーン、ミリアスが書いた当初の脚本では、ウィラードを含むカーツ軍団VSベトコンの大規模戦闘シーンが予定されていて、BGMは大音響でドアーズの『ハートに火をつけて(Light My Fire)』が流される予定でしたが、様々な事情から中止になり、現在の形になりました。  1944年4月11日、ミズーリー州セントルイス出身。

【ロケーション】『時計じかけのオレンジ』のロケ地を紹介した動画

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 『時計じかけのオレンジ』のロケ地訪問の動画です。映画との比較映像もあり、かなり丁寧に作られていて完成度が高いです。紹介しているロケ地は浮浪者が襲撃されたガード下、アレックスのアパート(外観)とその玄関(アレックスの部屋の撮影は許可されなかったようだ)、仲間割れを起こしたマリーナ、キャットレディの邸宅とその内部、ルドビコ医療センターの受付と建物、治療を受けた講堂、浮浪者に襲われたテームズ川のほとり、飛び降り自殺を図った邸宅、そして作家の家の玄関(に続く道路)です。  それぞれの場所は当ブログでも今後詳しく紹介したいと思っています。

【考察・検証】星新一の『2001年宇宙の旅』批判を検証する

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スクリーン 1968年7月号『SF映画の楽しさと問題点をさぐる』(画像加工済み)  日本を代表するSF作家、星新一が『2001年宇宙の旅』に批判的だったのは知っていたのだが、その批判記事を見つける事ができたので、それを検証してみたいと思う。 (注:※は管理人による注釈で、元記事にはありません)  シネラマ『2001年宇宙の旅』ぐらい、いろいろな意味で話題になった映画は最近においてないのではないかと思う。なにがなんだかさっぱりわからないのである。私は小松左京といっしょに映画を見たわけだが、帰りにビールを飲みながら数時間にわたり、ああであろうかこうであろうかと話しあった。私も彼も日本SF界では五指に数えられる(なんと作家の層の薄いことよ)のはずだかが、いわく不可解というのが結論だった。  もっとも、見るにたえない愚作というわけではなく、むしろ一見の価値のある精密さと幻想美をそなえた作品ではある。ただそれが調和していず、はじめは科学の如く、終わりはナゾナゾの夢の如しという形のものだ。 〈以下映画の感想なので中略〉  しかし、わけがわからないままというのもいい気分ではない。私は「SFマガジン」に電話をして「いったい原作の小説(※小説版の事)はどうなっているんだ」と聞いた。編集長の福島氏は不在だったが、SF翻訳家の伊藤典夫氏(※小説『2001年…』の翻訳者)がそこにいて、彼から説明を聞くことができた。そして、なるほどとはじめてわかった。 〈以下映画の解説なので中略〉 SFとしてはすぐれたアイデアであり、原作では描写もリアルで面白い物語だという。この映画について難解だという評があるが、製作者の説明不足というべきである。難解と説明不足とは意味が違う。  かくして私は筋を知りえたが、なぜこんなふうに仕上げたのかの疑問は残る。途中で予算を使い果たしたのではないか。クラークの原作小説を売るため(発売は映画封切り後である)わざと後半で手を抜くよう圧力をかけたのではないか。 〈以下星氏の映画製作の裏事情の推測なので中略〉 ・・・などといった傑作な意見も出てくるわけである。しかし、小松左京氏は、まじめで卓越な新説を出した。こうである。「超大型画面の映画となると、従来のように構成のきちっとした物語はむかぬのではないか。観客の想像や判断にゆだねる箇所を残しておく必要がある」  指摘されてみると、...

【関連記事】英誌が選ぶ「原作を超えた映画ベスト50」

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 英Total Film誌が、原作を超えた映画50本をランキングした。  第1位に選ばれたのは、フランク・ダラボン監督がスティーブン・キングの中編小説「霧(原題:The Mist)」を映画化した「ミスト」(2007)。激しい嵐が過ぎ去った町に不気味な深い霧が立ち込め、住民たちは身動きが取れなくなってしまう。やがて霧の中に潜んだ正体不明の生物が彼らを襲いはじめ……。  「ミスト」の原作とは異なる衝撃のラストには、原作者キングも称賛を送っている。また、見たあとに落ち込む鬱映画の傑作としても広く知られている。  ベスト20までは以下の通り(タイトルのあとは原作者名。映画と異なる場合のみ原作邦題を付記)。 「ミスト」(2007)/スティーブン・キング「霧」 「きみに読む物語」(2004)/ニコラス・スパークス 「The Painted Veil(原題)」(2006・日本未公開)/サマセット・モーム「五彩のヴェール」 「ダイ・ハード」(1988)/ロデリック・ソープ 「ティファニーで朝食を」(1961)/トルーマン・カポーティ 「ファイト・クラブ」(1999)/チャック・パラニューク 「ミーン・ガールズ」(2004)/ロザリンド・ワイズマン「Queen Bees and Wannabees」(邦訳なし) 「ジュリー&ジュリア」(2009)/ジュリア・チャイルド自伝&ジュリー・パウエルの同名原作 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(2007)/J・K・ローリング 「ジュラシック・パーク」(1993)/マイケル・クライトン 「プラダを着た悪魔」(2006)/ローレン・ワイズバーガー 「ノーカントリー」(2007)/コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」 「L.A.コンフィデンシャル」(1997)/ジェームズ・エルロイ 「ジョーズ」(1975)/ピーター・ベンチリー 「羊たちの沈黙」(1991)/トマス・ハリス 「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」(1964)/ピーター・ジョージ「破滅への二時間(赤い警報)」 「トゥモロー・ワールド」(2006)/P・D・ジェームズ「人類の子供たち」 「ロード・オブ・ザ・リング」3部作/J・R・R・トールキン「指輪物語」 「サイコ(1960)」/ロバート・ブロック 「ミレニアム ドラゴン・タトゥ...

【関連記事】史上最高の宇宙体験ができる映画10選

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 宇宙は昔より身近なものになってきてはいるとはいえ、一般人にはまだまだ手の届かない存在です。金銭面だったり、肉体面だったり、精神面だったり、頭脳面だったり......様々な要素が満たされていないと無重力空間には行けません。  宇宙をリアルに体験出来る人は、ほんの一握りです。しかし、便利なもので、そんな私たち一般人でも、映画やドラマを通して美しい宇宙体験ができます。そこで今回は、io9がまとめた「史上最高の宇宙体験ができる映画10選」をお届け。  それでは、以下から詳細をどうぞ。ちなみに、リストは順不同です。 1. 『2001年宇宙の旅』  言わずと知れた、スタンリー・キューブリック監督のSF傑作『2001年宇宙の旅』。これまでに無かったタイプのSF映画であると同時に、時代を先取りしたビジュアルと、壮大な宇宙と小さくてちっぽけな人間のコントラストは、人々に驚異と畏怖の念を抱かせました。  また、45年も前に作られた映画にも関わらず、その映像は「美の境地に達している」と言っても過言ではありません。宇宙とSFを語る上で外すことの出来ない名作です。 2. 『エウロパ・レポート』  民間の宇宙船乗組員が、地球外生物の生存確立が高いと言う木星の月を探査する中で、恐ろしい事実に直面する『エウロパ・レポート』。  本作は、膨大な量の調査と、NASAやJPLから得た月の表面のマップデータを元にビジュアルを製作している為、正確に描かれていることがウリのひとつ。リアルな宇宙体験を描くために、余計な効果音や派手な演出(地球外生物等は除く)はありません。『2001年宇宙の旅』が好きな人にオススメの作品です。 3. 『ブラックホール』  1979年、VFXが一般的で無かった当時、ディズニーが56億円という巨額の制作費をかけて製作した『ブラックホール』。マット画の上を、複雑に作り込まれたミニチュアをゆっくりと動かしながら撮影した宇宙は、今見ても惚れぼれする美しさです。 4.『ウォーリー』  宇宙が恐ろしい未知の場所ではなく、遊び心が満載で快適、だけど満たされすぎているから退屈で怠慢を引き起こす場所として描かれている『ウォーリー』。ゴミだらけの地球で、ただひとり、せっせと働く心優しいお掃除ロボットとのギャップの激しさが、宇宙をよりファンキーで楽しい場所に見せてくれます。 5. 『サンシャイン 20...

【台詞・言葉】私も踊りは好きじゃないわ(I don't like dancing either very much)

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 『ロリータ』のダンスパーティーのシークエンスで、ジェーンがハンバートに向かってこう言うのですが、実はジェーンを演じたダイアナ・デッカーはTV等で活躍したミュージカル歌手兼女優で、50年代に こんな ダンサブルで軽快なブギを歌っています。つまり、歌手で有名なダイアナが「私も踊りは好きじゃない」と真顔で言うのは「笑うところ」なんですね。うーん、当時の流行や背景を知らないと、ちょっとこれは厳しいです。  しかしまあハンバート氏、熟女にモテまくってますね。でも自身は強烈なロリータ・コンプレックス(少女偏愛者)なので全く眼中になし。ここも笑う所、です(笑。

【撮影・技術】ディゾルブ(Dissolve)

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 前の映像から次の映像に移る際、前の映像に溶け込むように次の映像が現れる編集方法。キューブリックはこのディゾルブについて、  「私は特にディゾルブが好きではないのでそれを使わないようにしている。しかし一つのシーンが前のシーンに続いた同じ場所であるときや、時間の経過を明確にしたいときには、ディゾルブはしばしばそのことを示す最も簡単な方法だ」(引用:『イメージフォーラム増刊 キューブリック』) と発言している。  上記の動画は『シャイニング』のタイトル・シークエンス。最初の湖の空撮のカットと次の森の空撮のカットを溶け込みように繋いでいるのが「ディゾルブ」。

【パロディ】コンカーズ・バッド・ファー・デイ(Conker's Bad Fur Day)のオープニングが『時計じかけのオレンジ』だった件

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 可愛いキャラとは裏腹に結構過激なゲームみたいです。『時計じかけのオレンジ』がパロディにされるのもさもありなん、という感じでしょうか。睨みつける表情や挑発的なヴォイス・オーバーはなかなかな再現度。そういえばアレックスはなんとなくリスっぽい顔していますんで、違和感は少ないかも。でも、もう15年以上も前のゲームですから、ポリゴンとか動作とかぎこちないのはしょうがないですね。

【関連記事】関係者が認めていないS・キューブリックのドキュメンタリーが気になる!

 20世紀最高の巨匠スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(80)を徹底分析するドキュメンタリー映画『ROOM237』。サンダンス、カンヌと映画祭で注目されてきた話題作が2014年1月25日(土)より全国順次公開となる。  リゾートホテルを呪われた迷宮に見立てた『シャイニング』を多角的に解明する本作は、筋金入りのキューブリック研究家たちのコメンタリーと共に進行していく。ビル・ブレイクモア(ジャーナリスト)、ジェフリー・コックス(歴史学者)、ジュリ・カーンズ(作家)、ジョン・フェル・ライアン(ミュージシャン)、ジェイ・ウェイドナー(作家、映画製作者、神秘学者)。この5人が斬新かつユーモラスな極私的『シャイニング』論を披露し、映画を読み解いていく。  ただ、本作はキューブリックの家族や『シャイニング』の製作者などには一切承認されておらず、完全に独自の解釈であることも明らかにされており、予告編も“本作は私見である”という内容の注意文から始まる。  いったいどんな映画に仕上がっているのか。日本公開が待ち遠しい!   (引用: MovieWalker /2013年11月29日 )  例の『シャイニング』に関する妄想とこじつけを並べただけの例のゴミ・サギ映画『ROOM237』ですが、ステマを始めたらしくあちこちで記事になっています。いちいち反応してもしょうがないんでスルーしようかと思っていたのですが、さすがに映画の内容に問題アリと判断したのか、記事の煽りがここにきてトーンダウン。「私見」や「独自解釈」、「好き勝手」など微妙な言い回しが増えています。まあ、不幸にも観てしまった方へのクレーム対策でしょうかね、さすがにこの段階で「『シャイニング』の真の姿が暴かれる!」というような煽り文句は危険だと判断したのでしょう。「この言い回しから内容を悟ってね」と言わんばかりです。  さて、こんなゴミ・サギ映画を輸入し、金儲けを企んだ素晴らしい配給会社をご紹介しましょう。ブロードメディア株式会社です。でもまあそのうち社名を変えたりして、したり顔で生きながらえるんでしょうがね。

【パロディ】スタバで「 I am Spartacus!」

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 スターバックスを狙ったフラッシュモブと呼ばれるイタズラ動画が話題となっています。   剣闘士の男性は注文待ちの行列に並び、飲み物を注文しました。 そして準備が出来て店員が”スパルタカスさん”の呼び出しを行ったとき、 男性や他の仲間達が「私がスパルタカスだ!」と口々に叫んだのです。 これはスタンリー・キューブリックの「スパルタカス」の有名なシーンを再現したものでした。 事情を知らないスタッフや他の客はこの光景に衝撃を受け、そして大声で笑うしかなかったそうです。   最後に剣闘士の男性はゆっくりと余韻を残し、「私がスパルタカスだ。どうもありがとうございました。」と言いました。 この一連のパフォーマンスに店の中は拍手の渦に包まれました。   いたずらを主催したグループは、他にも数々の動画を撮影し、ネット上にアップロードしているとの事です。  (引用: Mirror News/2013年11月29日 )  ちょっと笑わせていただきました(笑。真面目な話をすれば、このシークエンスは『スパルタカス』で脚本を担当したダルトン・トランボが、共産主義者は仲間を売るようなマネはせず、連帯が強い事を示す意味で採用したものです。しかし時代は流れ、そんな共産主義の理想などこんなギャグのネタ程度にしかならなかったようです。  キューブリックもこんな偽善まみれの嘘くさいシークエンスなど撮りたくはなかったでしょうけど、我慢して仕事に徹したんでしょう。その不満は次作『ロリータ』での このセリフ で皮肉ってます。  そんなキューブリックの態度に怒り心頭だったのが主演のカーク・ダグラス。その怒りは有名な「才能あるクソッタレ」へと繋がっていきます。  でも、こうしてパロディにされるほど、このシークエンスは定番ネタとして定着しているって事ですよね。この事を存命中のカークはどう思っているのでしょうか。キューブリックはいち早く次作でパロディにしていますから、世の中は当時キューブリックが感じていた方向に動いた、と言えるでしょうね。